著者
東 淳樹 時田 賢一 武内 和彦 恒川 篤史
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画論文集 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.253-258, 1999-11-20
被引用文献数
5 10

サシバの繁殖期間中である1998年5月から6月にかけて千葉県北西部の手賀沼流域の22カ所の谷津環境において、サシバの生息分布調査を行ないサシバの生息地の土地環境条件について考察した。その結果、サシバの生息確認地点は、谷津田の面積、斜面林の面積、稲作面積、谷津田に接する斜面林の面積のそれぞれの値が、非生息確認地点よりも有意に大きかった。サシバの保全を意図した谷津環境のあり方として、水田耕作された谷津田面積が十分確保され、谷津田が斜面林に覆われ、その面積が広いことが重要であることが示された。これらは、サシバの採食地点とパーチング・ポイントの確保の面から説明されることが考察された。
著者
李 龍太 恒川 篤史
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.737-740, 1999-03-30
被引用文献数
3 4

都市内に残っている民有樹林地を保全していくためには,地権者の協力が不可欠である。したがって,樹林地保全制度の効率的な運営のためには,各保全制度に対する地権者の意識を把握することが重要であると考えられる。本研究では,練馬区に樹林を提供している土地所有者を対象に,アンケート調査により意識傾向を調べた。その結果,相続税の納付と樹林地の管理がかなり負担になっており,「市民緑地」制度における相続税の減免幅とその契約期間の長さについて不満を持っていることが分かった。この結果から,今後相続税の評価減の拡大など制度を改善し,樹林の買取り要請に対する財源確保プログラムを樹立する必要があると考えられた。
著者
近藤 謙介 池田 奈美枝 樫原 千枝 北村 義信 岩崎 正美 恒川 篤史 松添 直隆
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.15-21, 2010-03-01

高温期における再生紙マルチの利用がミズナ2品種'京みぞれ'と'晩生白茎千筋京水菜'(以下, '白茎')の生育, アスコルビン酸含量および硝酸イオン濃度に及ぼす影響を検討した. 処理区は白色と黒色の再生紙マルチを用いた紙(白)区と紙(黒)区, シルバーポリマルチを用いたシルバー区, さらに裸地区を設け, 計4処理区とし, 露地および雨よけハウス内でそれぞれ栽培した. 栽培期間中で最も気温の高かった日の地温および平均最高地温が最も低かった区は露地とハウス内ともに紙(白)区だった. 再生紙マルチの昇温抑制効果はハウス内よりも露地で大きかった. 欠株率はマルチ処理区間に差は認められなかった. 生育は紙(白)区が最大で, その要因としては処理区間の土壌含水比に差がなかったことから, 再生紙マルチの地温上昇抑制効果が大きく関与したと考えられる. また, 品種間を比べると'白茎'は'京みぞれ'に比べ欠株率が低く, 生育が良好だった. アスコルビン酸含量は'白茎'の紙(白)区が裸地区に比べ有意に多かった.一方,硝酸イオン濃度は処理区間に差はなかった.以上の結果から, 高温期における再生紙マルチの利用は, ミズナの生育を促進できることが明らかとなった. また, 欠株率, 生育およびアスコルビン酸含量に品種間差が認められたことから, 高温期栽培に適したミズナの品種の選定・育成も必要と考えられた.
著者
恒川 篤史 鈴木 雅一 森田 茂紀 飯山 賢治 篠田 雅人 西田 顕郎
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、多様な生態系を対象としてさまざまなタイプの数値シミュレーションモデルを適用し、その生態系で生じている現象の理解を深め、新たな現象を解明すると同時に、モデル自体についてもさまざまな改良や開発を続けてきた。主要な研究対象と成果は以下の通りである。1.日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林において、Komatsu et al.(2006)によって開発された生態系プロセスモデルを用いて、斜面部による蒸散開始時刻の違いがどのような要因によって生じるかを解明した。2.米国モンタナ大学で開発されたBiome-BGCを日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林袋山沢に適用した結果、幹材積炭素含有量の、植栽から現在までのモデルによる計算値の推移は、千葉演習林のスギの収穫表と袋山沢での観測値をほぼ再現した。3.Centuryモデルを富士山における一次遷移のデータに適用し、その適用性を検討した。いくつかのパラメータを変更する必要があったが、パラメータを変更することでCenturyモデルは富士山における一次遷移のデータを良好に再現することができた。4.Biome-BGCモデルをモンゴル中央県のバヤンウンジュールの典型草原に適用した。さまざまなチューニングにより実測値の正確な予測が可能となった。このモデルを用いて干ばつに対する植生影響のシミュレーションを試みた。5.広域スケールの生態系プロセスモデルとして、光合成有効放射吸収率(FPAR)、葉面積指数(LAI)、4種類の気候データ(純放射、日最低気温、日平均気温、飽差)および土地被覆図を用いた生産効率モデルを用いて、1982年から1999年までの全球陸域NPPを推定した。
著者
東 淳樹 武内 和彦 恒川 篤史
出版者
社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学. 別冊, 環境情報科学論文集 = Environmental information science. Extra, Papers on environmental information science (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.239-244, 1998-11-16
被引用文献数
17

千葉県印譜沼流域鹿島川水系において,サシバの分布および生息環境について調べた・まず,サシバの繁殖期間中にあたる1997年4月下旬から6月初旬にかけて,生息分布を調査した・また,同年5月下旬から7月下旬にかけて,ラジオ・テレメトリ法により繁殖期間中の繁殖雄4羽の行動追跡を行なった・その結果,サシバは,谷津環境に生息し,生息分布は,谷津田の幅の広さと関連があった・サシバは斜面林を移動しながら採食し, 6月初旬までは谷津田を採食場所として利用したが,それ以降は林縁部,林冠部へと採食場所を移行させた.これらのことから,サシバは採食効率の面から谷津環境を営巣および採食場所として利用していると推察された.We studied the distribution and habitat use of the Gray-faced Buzzard Eagle, Butastur indicus, along the Kashima river, watershed of lnba Marsh, Chiba Prefecture. Eagles were censused on maps from late in April to early in June, 1997. Four male eagles were radio-tracked from late May to late July inthe same year. The eagles occurred at Yatsu-environment, which is composed of Yatsuda (small paddy held) and forests on terrace scarp, and they preferred narrow Yatsuda. The eagles perched in trees on terrace scarp through the breeding season, and foraged in Yatsuda until early June. But, in June and August, the foraging site shifted from Yatsuda to forest edge and canopy. These results suggest that the eagles selected Yatsu-environment as nesting and foraging habitat to increase their foraging efficiency through seasons.