著者
近藤 謙介 池田 奈美枝 樫原 千枝 北村 義信 岩崎 正美 恒川 篤史 松添 直隆
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.15-21, 2010-03-01

高温期における再生紙マルチの利用がミズナ2品種'京みぞれ'と'晩生白茎千筋京水菜'(以下, '白茎')の生育, アスコルビン酸含量および硝酸イオン濃度に及ぼす影響を検討した. 処理区は白色と黒色の再生紙マルチを用いた紙(白)区と紙(黒)区, シルバーポリマルチを用いたシルバー区, さらに裸地区を設け, 計4処理区とし, 露地および雨よけハウス内でそれぞれ栽培した. 栽培期間中で最も気温の高かった日の地温および平均最高地温が最も低かった区は露地とハウス内ともに紙(白)区だった. 再生紙マルチの昇温抑制効果はハウス内よりも露地で大きかった. 欠株率はマルチ処理区間に差は認められなかった. 生育は紙(白)区が最大で, その要因としては処理区間の土壌含水比に差がなかったことから, 再生紙マルチの地温上昇抑制効果が大きく関与したと考えられる. また, 品種間を比べると'白茎'は'京みぞれ'に比べ欠株率が低く, 生育が良好だった. アスコルビン酸含量は'白茎'の紙(白)区が裸地区に比べ有意に多かった.一方,硝酸イオン濃度は処理区間に差はなかった.以上の結果から, 高温期における再生紙マルチの利用は, ミズナの生育を促進できることが明らかとなった. また, 欠株率, 生育およびアスコルビン酸含量に品種間差が認められたことから, 高温期栽培に適したミズナの品種の選定・育成も必要と考えられた.
著者
遠山 柾雄 岩崎 正美 木下 収 杉本 勝男 竹内 芳親
出版者
鳥取大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

高温乾燥の激しいメキシコ沙漠の海岸砂丘地で、野菜の生産性増大に関する基礎研究を行った。供試野菜は小松菜,廿日大根,ベカナ,チンゲンサイ,レタス,グリーンデビューの6種で、これらの野菜栽培に対して点滴かんがい法,保水剤の利用,かん水頻度とかん水量等による節水技術の確立を行った。また、良質のかんがい水として空中水分を除湿機により採取し、それを育苗床へ利用することを試みた。メキシコ砂漠の地下水のEC1442μs/cmに対し、除湿水は266μs/cmで極めて良質であった。地下水に対する葉重がレタス1.9倍,チンゲンサイ1.6倍となったように、その除湿水は育苗に対して顕著な効果をあげた。また、9種の保水剤を利用した実験においてチンゲンサイの葉重には増収効果が表われたが、その中で最大の効果をあげた保水剤は約60%で、全体的には国内実験に比較して効果があがらなかった。これはかんがい水中の塩分が影響しているためであり、沙漠緑化に対しては耐塩性保水剤の開発が急務であることが示唆された。また、同量のかん水量に対して、かん水頻度の多い方がチンゲンサイの葉重は増加した。