著者
北澤 卓也 角野 立夫
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.11-18, 2015

2系列の従来型循環変法装置をラボスケールで運転し、その脱窒槽にアナモックス汚泥を包括固定化した担体を投入することで、硝酸還元型アナモックスプロセスにおいて窒素処理性能に及ぼすC/N比の影響の評価と長期処理安定性の維持について検討した。また、脱窒槽内におけるNH<sub>4</sub>-N濃度の推移から、アナモックスプロセスの評価を行った。水素供与体としての有機物は、メタノール(RUN1)と酢酸ナトリウム(RUN2)を供試した。その結果、CH<sub>3</sub>OH/N比1.2~2.4(RUN1)及びC/N比(酢酸)1.2~1.7(RUN2)の有機物添加量の比較的低い条件において硝酸還元型アナモックスプロセスが生じ、T-N除去率はRUN1で50~85%(平均68%)、RUN2で59~88%(平均 74%)となり、両系列で高いT-N除去率を得た。両系列でC/N比を約1.5倍に増大するとT-N除去率の大幅な向上は見られなかったが、処理水のT-N濃度は安定した。両系列の脱窒槽内におけるNH<sub>4</sub>-N濃度は、CH<sub>3</sub>OH/N比及びC/N比(酢酸)の増大前で従来法より低い傾向を示し、T-N除去率の向上はアナモックスプロセスによるものと示唆された。さらに処理運転終了時、アナモックス担体のリアルタイムPCR法による解析により、アナモックス菌群の存在が確認された。RUN1とRUN2のT-N除去率を比較すると、酢酸を用いたRUN2の系列が高い傾向を示した。また、有機物の添加量が少ない場合でも、高い窒素処理性能が得られた。
著者
森作 俊紀 北澤 卓也 鈴木 光 由井 宏治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.554-561, 2014 (Released:2014-11-25)

-0.01°Cから-1.0°Cの過冷却温度範囲において,形成される氷結晶形態の不凍糖タンパク質(AFGP)濃度に対する依存性を0 mg/mLから1.0 mg/mLの範囲で調べた.-0.01°CではAFGP濃度の増加につれて過去に報告された円盤→六角板→角柱への形態変化が再現性よく観測された.次に-0.3°Cから-0.5°Cで調べた所,1.0 mg/mLで先端がファセットな多数の板状結晶が放射状に成長する新しい結晶形態を見いだした.この氷形態に着目して濃度を固定しさらに温度を下げた所,-1.0°Cでシダ状星型樹状結晶になる事が観測された.シダ状星型樹状結晶は自然界では雪の結晶として約-14°Cで形成されるが,AFGP共存下では-1.0°Cの過冷却温度で観測された.比較的高温でもシダ状星型樹状結晶が観測された要因として,プリズム結晶面へのAFGPの吸着による結晶面間の成長速度差が,約-14°Cでたち現れる速度差と同程度まで大きくなった事が考えられる.