著者
北野 宣裕 亀井 且有 井上 和夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.129-138, 1993
被引用文献数
1 3

熟練者が制御を行う場合, その操作量決定過程は一般に多段であると考えられている.しかしながら, その推論過程は, まず最初に制御対象に関する包括的な知識を用いて大域的な操作量を決定する.この操作量を用いて制御結果を予測し, 制御目的を最大満足するように操作量を直接修正している.このように熟練者の操作量決定過程は大別すると二段階になっており, 二段でほぼ満足のいく制御結果が得られると考えられる.本論文では, 二段階で近似できる熟練者の操作量決定過程の各段で異なった推論を行う二段ファジィ制御法を提案する.本制御法の一段目は従来の状態評価ファジィ制御法に対応し, 二段目は目的評価ファジィ制御法に対応している.また, 二段目は制御結果を最適にするために調整を行う部分であり, チューニング問題である.したがって, 二段ファジィ制御法は, 従来の手法とは異なったチューニング手法の一つであるとも考えられる.この二段ファジィ制御法を模型自動車の縦列駐車制御に応用し, 従来の状態評価ファジィ制御法との比較を行う.