著者
嶋田 愛 千田 恭子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.75-91, 2008

現在,わが国のクラシックの演奏会における西洋声楽曲のレパートリーは幅広い。その中でも,ドイツリートやイタリア歌曲,イタリアオペラに馴染みが深いように感じるが,ここに至るまでにわが国の西洋声楽曲のレパートリーはどのように変化してきたのだろうか。 本論では,明治以来のわが国の近代化と共に歩んできた西洋声楽曲のレパートリーの移り変わりについて明らかにする。方法としては主に,現在の東京藝術大学の前身,東京音楽学校で行われた各種コンサートの資料を用い,その中から独唱曲として演奏されている西洋声楽曲について調査する。また,時期としては日本人によって初めて西洋声楽曲が演奏された明治29年から東京藝術大学設立までの約55年間を,時代を追って扱うものとする。
著者
Cocteau Jean 千田 恭子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.117-128, 2007-02

コクトー(Cocteau,」1889~ 1963)の戯曲をもとにプーランク(Poulenc,F1899~1963)が作曲したモノオペラ『人間の声』(1958年作曲、1959年初演。戯曲としての初演は1930年)に私が初めて巡り会ったのは、もう25年も前のことである。フランス語は全くわからないにもかかわらず、後々まで印象に残ったことを覚えている。2002年に同作品を原語で演奏する機会を得た(2002年6月、愛知県名古屋市守山文化小劇場、演出:伊藤明子)。オペラの台本はコクトーが書いた戯曲全てではなく、作曲家のプーランクと初演時に唯一人の登場人物を演じたソプラノ歌手、ドウエーズ・デュヴアル(Duval,D1921~)が検討を重ねてカットを施したものである。その台本によるオペラの初演の時、コクトーは演出と舞台装置を担当し、「親愛なるフランシス、君は僕のテキストを『朗誦』する方法を見つけてくれた」という讃辞をプーランクに書き送ったという事を知り、カットされた部分は気にせず、台本テキストを読み込み、人物像を描き、自分なりの舞台を作り上げることができたと思っていた。2004年、ジェシー・ノーマン(Norman,」1945~ )が来日し、この作品を演じた。残念ながら生の舞台を観ることはできなかったが、後日、NHKの教育テレビでライブ映像が放送された(2004年8月、芸術劇場)のを観て、役作りと表現の差を痛烈に感じたのである。演出そのものの違いなのか、アメリカ人と日本人の持うている性格の差なのか、他に何か理由があるのか…。もちろん、それらの全てに原因があるのであろう。そこで、役創りの差がどこから発生するのか理由を探し出そうと戯曲そのものの翻訳を試みることにした。『人間の声』の翻訳はコクトー全集② に収められている。そこで私は、声楽家が役作りの追求のため、プーランクのオペラの原作を研究するという立場で翻訳を試みることにした。恋人に捨てられた女は前夜睡眠薬自殺をしようとし、一命を取り留めて苦悩の1日を終えた。死体のようにうずくまる女の部屋に電話のベル。5年間の愛の生活を捨てて3日前に去って行うた男からの最後の電話。男は明日、別の女と結婚するらしい。男とかわす最後の会話。それがオペラの全てである。電話の相手は姿を見せることはなく、声さえも観客に聞かせることはない。プーランクとデュヴアルがカットした部分にはどのような人物像が描かれているのかを探りつつ、楽譜に込められたプァランクのメッセージと対比しながら翻訳すことによって、オペラ作品としての『人間の声』の新しい魅力を発見したいと思う。
著者
Jean Cocteau 千田 恭子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.117-128, 2007-02

コクトー(Cocteau,」1889~ 1963)の戯曲をもとにプーランク(Poulenc,F1899~1963)が作曲したモノオペラ『人間の声』(1958年作曲、1959年初演。戯曲としての初演は1930年)に私が初めて巡り会ったのは、もう25年も前のことである。フランス語は全くわからないにもかかわらず、後々まで印象に残ったことを覚えている。2002年に同作品を原語で演奏する機会を得た(2002年6月、愛知県名古屋市守山文化小劇場、演出:伊藤明子)。オペラの台本はコクトーが書いた戯曲全てではなく、作曲家のプーランクと初演時に唯一人の登場人物を演じたソプラノ歌手、ドウエーズ・デュヴアル(Duval,D1921~)が検討を重ねてカットを施したものである。その台本によるオペラの初演の時、コクトーは演出と舞台装置を担当し、「親愛なるフランシス、君は僕のテキストを『朗誦』する方法を見つけてくれた」という讃辞をプーランクに書き送ったという事を知り、カットされた部分は気にせず、台本テキストを読み込み、人物像を描き、自分なりの舞台を作り上げることができたと思っていた。2004年、ジェシー・ノーマン(Norman,」1945~ )が来日し、この作品を演じた。残念ながら生の舞台を観ることはできなかったが、後日、NHKの教育テレビでライブ映像が放送された(2004年8月、芸術劇場)のを観て、役作りと表現の差を痛烈に感じたのである。演出そのものの違いなのか、アメリカ人と日本人の持うている性格の差なのか、他に何か理由があるのか…。もちろん、それらの全てに原因があるのであろう。そこで、役創りの差がどこから発生するのか理由を探し出そうと戯曲そのものの翻訳を試みることにした。『人間の声』の翻訳はコクトー全集② に収められている。そこで私は、声楽家が役作りの追求のため、プーランクのオペラの原作を研究するという立場で翻訳を試みることにした。恋人に捨てられた女は前夜睡眠薬自殺をしようとし、一命を取り留めて苦悩の1日を終えた。死体のようにうずくまる女の部屋に電話のベル。5年間の愛の生活を捨てて3日前に去って行うた男からの最後の電話。男は明日、別の女と結婚するらしい。男とかわす最後の会話。それがオペラの全てである。電話の相手は姿を見せることはなく、声さえも観客に聞かせることはない。プーランクとデュヴアルがカットした部分にはどのような人物像が描かれているのかを探りつつ、楽譜に込められたプァランクのメッセージと対比しながら翻訳すことによって、オペラ作品としての『人間の声』の新しい魅力を発見したいと思う。
著者
千田 恭子 嶋田 愛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.75-91, 2008-11

現在,わが国のクラシックの演奏会における西洋声楽曲のレパートリーは幅広い。その中でも,ドイツリートやイタリア歌曲,イタリアオペラに馴染みが深いように感じるが,ここに至るまでにわが国の西洋声楽曲のレパートリーはどのように変化してきたのだろうか。 本論では,明治以来のわが国の近代化と共に歩んできた西洋声楽曲のレパートリーの移り変わりについて明らかにする。方法としては主に,現在の東京藝術大学の前身,東京音楽学校で行われた各種コンサートの資料を用い,その中から独唱曲として演奏されている西洋声楽曲について調査する。また,時期としては日本人によって初めて西洋声楽曲が演奏された明治29年から東京藝術大学設立までの約55年間を,時代を追って扱うものとする。
著者
千田 恭子 篠原 靖志 坂内広蔵
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.7, pp.21-26, 1996-01-19
被引用文献数
2

検索の初期入力を支援するため、汎用シソーラスを利用して検索対象の文章中に含まれる語を意味別に分類して提示する索引メニューシステムについて報告する。検索に役立てるために、対象領域用のシソーラスを作成し、文書中の用語をそのシソーラスの分類にそって意味別に提示するシステムがある。しかし、検索対象ごとにシソーラスをつくるのはコストがかかる。そこで我々は、「分類語彙表」という汎用的なシソーラスを利用し、ある企業の規定文書を対象に、低コストで簡便な索引メニューシステムを試作した。しかし分類語彙表の体系は索引提示に利用するために作成されていないため、そのまま利用するには、最上位のメニュー提示に適した階層がないなどの問題点があった。そこで、索引項目を二つに分け、分類の視点がより明確である項目を先に提示するなどの修正処置を行なった。本論ではそのような修正を含めた索引メニューの構築方法と、その考察を述べる。We report a nex method for making an index menu of full text database. This index menu and its presentation system supports finding keyword for the users unfamiliar to the target text database. Although, some existing full text database systems have special thesaurus developed to match their contents, it is expensive to develop different thesaurus for each databases by the experts. Hence we developed an index menu by modifying a general thesaurus "Bunrui-Goi-Hyou" to make an index of text databases in general. We discuss on the general thesaurus, modification process, and an index menu presentation system.
著者
千田 恭子 篠原 靖志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.86, pp.91-96, 2001-09-10

技術成果に関するPR資料やプレゼンテーションでは、専門家だけでなく一般の人にもアピールする表題をつける必要がある。そこで本研究では、専門的な技術性かを、専門知識のない一般の人にもアピールできる表題のつけ方を明らかにすることを目的とする。そのため、論文・報告書の表題(4325題)と、それと同種の研究成果を報じた新聞記事の見出し(1411題)との比較分析を行った。そして、新聞の見出しでは、専門知識のない人にもその技術の価値が伝わるように、「開発技術の具体的な動作内容でなく、開発目的を示すことで、その技術の要旨を表す」「開発技術の実現方法でなく長所を示すことで、その技術の新規性を表す」という方策をとっていることを明らかにした。In order to publish reports or pamphlets on newly developed technologies for the general public, the authors have to compose titles appealing to the common reader. In order to clarify the method of composing the titles, this research compared between paper titles and newspaper headlines. On comparison, it became clear that the following tactics is used in the newspapers headlines to get the value of the technology across to the reader who lacks expert knowledge. ・It is expressed that what sort of technology it is by the phrase expressing what purpose the technology is for, instead of by the phrase expressing what the technology does. ・It is express that what the novelty of the technology is by the phrase expressing its strong point, instead of by the phrase expressing the method of realizing it.