著者
志賀 裕二 下江 豊 千種 誠史 楠 進 森 雅裕 栗山 勝
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.385-389, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は28歳の男性.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染後に四肢しびれ感,両手の脱力が出現し,末梢神経障害を認めた.血清IgM抗CMV抗体,IgM抗GM2,抗GalNAc-GD1a抗体が陽性で,脳脊髄液で蛋白細胞解離を認め,神経伝導検査で脱髄型ニューロパチーを示した.CMV感染後急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy; AIDP)と診断し,免疫グロブリン大量療法で軽快退院した.神経伝導検査は4ヶ月後に正常化した.CMV感染後AIDPで報告されているランビエ絞輪蛋白モエシンに対する抗体が治療前血清で陽性を示し,4ヶ月後,神経伝導検査が正常化するとともに同抗体が陰性化し,病態への関与が考えられた.