著者
升田 利史郎 桐栄 敬二 来田村 実信 小野木 重治
出版者
一般社団法人 日本レオロジー学会
雑誌
日本レオロジー学会誌 (ISSN:03871533)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.77-82, 1981-06-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Extensional properties at constant rates were measured for styrene-butadiene copolymers having various molecular weights and compositions. The result shows that the extensional behavior of block copolymers is affected strongly by the phase structure. Samples of intermediate compositions form two-phase structure composed of polybutadiene (PB) and polystyrene (PS) phases. Both the initial modulus of extension and failure behavior are mainly dominated by the deformation of the PB phase. The flow of PB chains at and beyond the failure point is obstructed by the PS phase. Deformation and flow of PS chains are dominant in the extensional behavior of the samples having low butadiene contents, in which the PS phase is plasticized by short PB chains. Time-temperature superposition can be applied to strain-rate dependence curves of failure stress and strain measured at different temperatures. The temperature dependence of shift factor aT obtained for the samples, which form two-phase structure, agree well with that for homo-polybutadiene, reflecting that the onset of flow of PB chains is the dominant factor governing the failure phenomenon. However, aT for the samples having low butadiene content is higher than that for other samples.
著者
小野木 重治 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.640-649,664, 1968-07-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
61
被引用文献数
4 4

高分子溶融物は,合成繊維の紡糸,プラスチックの成形などの加工に使われ,その流動性は加工性を直接支配する要因である。一方,溶融物や濃厚溶液を学問的に考えれば,希薄溶液や結晶のような理想状態とはちがって,理論的に取り扱うことのむずかしい状態であり,分子構造と溶融高分子の性質との関係は,高分子科学の中でも最も解明の遅れた分野の一つであるといえよう。しかし最近の研究は, 高分子の分子構造, たとえば分子の大きさ, 分子量分布,枝分れなどと溶融物のレオロジー的性質との関係を明らかにしつつある。特に分子量分布の均一な単分散試料について得られたデータが集積され,高分子の構造と溶融状態における流動性との関係を帰納する上に大きく貢献している。この記事は,このような溶融物に関する最近の研究を,著者らの研究を中心として概観しようとするものである。
著者
川井 正弘 松本 孝芳 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, pp.108-114, 1994
被引用文献数
1

アルギソ酸はβ-1,4結合したbマンヌロン酸(以下Mと略す)とα-1,4結合したL-グルロン酸(以下Gと略す)から構成される酸性高分子多糖である.著者らはアルギン酸-酢酸水溶液系でゲルが形成されること,また,そのゲル化濃度はアルギン酸分子中のマンヌロン酸/グルロン酸比に影響されG成分に富んだアルギン酸がより低濃度でゲル化すること,さらに,その原因はG成分に富んだアルギソ酸の方が分子鎖が剛直であるためであることを明らかにした.他方,アルギン酸水溶液に適当な二価金属イオソを添加すると溶液がゲル化することはよく知られている.著者らは,アルギン酸水溶液をゲル化するに要する添加塩量がSrCl<SUB>2</SUB><CaCl<SUB>2</SUB><MgCl<SUB>2</SUB>の順で増加し,G成分に富んだアルギン酸の方が少ない添加塩量でゲル化することを見つけた.また,それらの原因はアルギン酸に対する二価金属イオソの親和性がSr<SUP>2+</SUP>>Ca<SUP>2+</SUP>>Mg<SUP>2+</SUP>の順で減少するためと,G成分に富んだアルギン酸の方が二価金属イオンに対する親和性が高いためであることを示した.本報文では,上記の結果を総括し,さらに,アルギソ酸水溶液をCaCl<SUB>2</SUB>,SrCl<SUB>2</SUB>でゲル化した時のゲル化点の構造を小角X線散乱測定を通して明らかにする.
著者
川井 正弘 松本 孝芳 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.10, pp.1184-1187, 1993-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

アルギン酸は,β-1,4結合したD-マンヌロン酸とα-1,4結合したL-グルロン酸から構成される酸性高分子多糖である。アルギン酸ナトリウム水溶液は,適当な二価金属イオンを添加するとゲル化することが知られている。しかしながら,ゲル化に及ぼす添加イオン種の影響は明らかでない。本研究では,その影響をレオロジー測定を通して研究した。レオロジー測定は10wt%アルギン酸ナトリウム水溶液に種々の濃度で塩化カルシウム,塩化ストロンチウムを添加した系について,円錐-円板型レオメーターを用いて測定温度25℃で行った。ゲル化するに要する添加塩量は,塩化ストロンチウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウムの順で増加した。これは,アルギン酸に対する二価金属イオンの親和性が,Sr2+>Ca2+>Mg2+ の順で低下するためと考えられる
著者
鄭 強 荒木 修 瀧川 敏算 高橋 雅興 升田 利史郎
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1284-1289, 1996-12-15
参考文献数
23
被引用文献数
2

Mixtures of Poly (metyl methacrylate) (PMMA) and poly (α-methylstyrene-co-acrilonitrile) (αMSAN) exhibit a LCST type of phase behavior. Dynamic rheological properties of PMMA / αMSAN blends of various compositions were measured at temperatures below, near, and above the phase-separation temperature. The time-temperature superposition was tried to obtain the master curves of G′ and G″ at 160℃. The time-temperature superposition principle failed above a certain temperature due to a phase separation. The "breakdown" temperature is close to the cloud temperature T_c of the blend samples. Comparison of log G′ vs. log G″ relation between the two components and the blends was made. The results show that the slopes of log G′ vs. log G″ plots in the terminal region are dependent on the composition of the blends. The rheological measurements have been found to be useful for characterizing the phase-separation of PMMA / αMSAN blends.
著者
川井 正弘 松本 孝芳 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1995, no.7, pp.540-543, 1995

6-O-カルボキシメチルキチソ(以下,CM-キチンと略す)は,金属イオンの吸着剤として注目され,吸着した金属イオンとの親和性により系のレオロジー的性質が変化する.また,CM-キチン水溶液は適当な三価の金属陽イオンによりゲル化し,このゲルは医用高分子材料として注目されている.しかしながら,ゲル化に及ぼす添加陽イオン種の影響は明らかでない.本研究では,その影響をレオロジー測定を通して研究した.レオロジー測定は10wt%CM-キチン水溶液に種々の濃度で塩化アルミニウム,塩化ガリウム(III),塩化インジウム(III)を添加した系について,円錐-円板型レオメーターを用いて測定温度25℃ で行った.ゲル化するに要する添加塩の量は,塩化イソジウム(III),塩化アルミニウム,塩化ガリウム(III)の順に増加した.これは,水溶液中におけるこれら三価金属イオンのCM-キチン分子を拘束する力が,In<SUP>3+</SUP> > Al<SUP>3+</SUP> > Ga<SUP>3+</SUP>の順に低下するためと考えられる.