著者
大山 莉奈 塩谷 猛 小峯 修 南部 弘太郎 渡邉 善正 渋谷 肇
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.971-978, 2016-10-01 (Released:2016-10-20)
参考文献数
16

症例は75歳の女性で,筋委縮性側索硬化症にて他院に通院中であり嚥下機能低下に対し1年前に胃瘻造設術を施行されていた.急激な腹部膨満を認め腸閉塞の疑いで当科へ搬送され精査の結果胃軸捻転症の診断となった.同日緊急で開腹胃壁固定術を施行し,再度胃瘻の使用が可能となった.難治性神経疾患を持つ患者の場合は,胃瘻造設後これを軸として胃軸捻転症を発症する可能性があり,急性腹症の鑑別の一つとして考慮すべきであると考え報告する.
著者
黒田 誠司 塩谷 猛 南部 弘太郎 渡邉 善正 和田 由大 山田 太郎 内間 久隆 島田 裕司
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.82-86, 2014 (Released:2014-07-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は33歳,女性.嘔気・嘔吐を主訴に来院.31歳時,他院で帝王切開の手術歴があった.腹部単純X線検査にて骨盤内にX線不透過性の糸の塊様陰影を認めた.また,CT検査では小腸の拡張と鏡面形成を認め,下腹部小腸内にX線不透過性の糸状のものを含む3.5cm大の腫瘤様所見を認めた.腸管内異物に関与した閉塞性イレウスと診断し,同日,手術を施行した.腹腔内は小腸が約20cmに渡って一塊となり強く屈曲していた.剥離すると同部位の小腸が穿孔しており,その口側腸管内に固形物を触知した.固形物を含めて一塊となった小腸を部分切除した.固形物はX線不透過糸入りガーゼであった.術後の腹腔内異物は人為的な合併症であり,まれに敗血症・イレウス・腸穿孔を起こすことがあるため注意を要する.本症例は過去の手術の際に腹腔内に遺残した医療用ガーゼが腸管内に迷入したものと考えられるが,文献的にも珍しく,また発生起序の観点からも興味深い症例といえる.