著者
原 靖英 山元 恭介 北浦 健生
出版者
神奈川県農業総合研究所
雑誌
神奈川県農業総合研究所研究報告 (ISSN:03888231)
巻号頁・発行日
no.147, pp.1-6, 2005-03
被引用文献数
1

「湘南キャンディシリーズ」は、'湘南キャンディレッド'、'湘南キャンディピンク'及び'湘南キャンディルージュ'の3品種のバラである。'湘南キャンディレッド'は、1996年に、当所保有の中間母本同士の交配により育成された切り花用バラ品種で、2001年7月に種苗法による品種登録申請を行った。花色は明るい赤色で、花形はカップ咲き、花弁のタイプは半剣弁、花弁数は平均44枚と多く、スプレータイプとしてはやや大きめの花を咲かせる。花は1花茎あたり5輪程度つき、花の高さは良く揃い、2次的に発生する側蕾の数は少ない。切り花用として、年間を通して安定して収穫することができ、養液栽培に適している。'湘南キャンディピンク'及び'湘南キャンディルージュ'は'湘南キャンディレッド'から2001年1月に自然発生的に得られた花色の異なる変異枝を固定したもので、2003年9月に種苗登録申請を行った。花色は'湘南キャンディピンク'は淡いピンク色、'湘南キャンディルージュ'は濃いピンク色で、両品種とも花の形はオリジナルの'湘南キャンディレッド'とよく似ている。花は1花茎あたり4-5輪程度つき、花の高さは良く揃い、2次的に発生する側蕾の数は少ない。切り花用として、'湘南キャンディレッド'同様年間を通して安定して収穫することができ、養液栽培に適している。
著者
栁下 良美 原 靖英 中山 真義
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.125-130, 2013 (Released:2013-07-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1

日本で施設切り花栽培に用いられる日長反応が中性のスイートピーの冬咲き性品種は,花色などの多様性がヨーロッパで利用されている長日性の夏咲き性品種に比較して小さい.我々は冬咲き性品種の多様性を拡大するために,夏咲き性品種に特有の花弁に斑の入る形質の導入を試みた.最初のステップとして斑入り形質の遺伝様式と着色性や開花習性との連鎖について検討した.斑入り花と全着色花,全白色花との交雑による後代での花弁着色の表現型の分離比から,斑入り形質は劣性の1遺伝子により制御されており,斑入りの表現型は着色性を制御する遺伝子により劣性上位で抑制されていることを明らかにした.また既存の報告と同様に,現在日本で栽培されている冬咲き性も1つの劣性遺伝子により制御されていることを明らかにした.さらに斑入り形質,着色性および開花習性は互いに独立して分離していることを示した.これらのことから,冬咲き性は表現型が発現した世代で固定が完了する一方で,斑入り形質はその自殖後代で全白色花が現れない世代で固定が完了すると考えられる.