著者
武田 甲 藤原 俊六郎
出版者
神奈川県農業総合研究所
雑誌
神奈川県農業総合研究所研究報告 (ISSN:03888231)
巻号頁・発行日
no.141, pp.15-22, 2001-03
被引用文献数
1

1.三浦半島では推定1,500t/年の屑スイカが排出され,その処理が環境上の問題となっている.スイカは含水率が92~98%と高いため,そのままで堆肥化は困難である.そこで屑スイカを細断して,スイートコーン茎葉裁断乾燥物(スイートコーン粕)とコーヒー粕乾燥物を混合して堆肥化する方法を検討した. 2.堆肥化は2段階で行った.初期発酵は通風装置付き密閉式縦型発酵槽(ビオロータリータイプ,1,200l容)で行い,続いて通風装置附き1,000l容箱形発酵槽により長期発酵を行った. 3.縦型発酵槽中では60℃を超す発熱がみられ,約60%の重量減少があった.長期発酵により重量は更に半減し,発酵を終えた製品はスイカの皮が一部残るだけで,混合したスイートコーンだけが目立つ性状となった. 4.成分分析の結果,原料スイカの炭素率(C-N比)は15程度であり,堆肥化には適していたが,含水率は95%以上と高かった. 5.半年間の発酵終了後,C-N比は10以下になり,肥料効果の高い堆肥となった.完成したスイカ堆肥は悪臭や不潔感が無く,コマツナによるポット栽培試験の結果,良好な生育を示した.堆肥化によりスイカ種子は発芽しなくなった. 6.以上の結果,適切な副資材と混合し,縦型発酵槽を使用すれば,屑スイカの堆肥化は可能であることが明らかにされた. 7.本研究で用いたコーヒー粕は株式会社コカコーラ海老名工場より御提供いただいた.また本研究で用いた屑スイカの調達には神奈川県農業総合研究所三浦試験場の岡本保氏の御助力をいただいた.岡本氏ならびに関係各位に謝意を表する.
著者
大矢 武志
出版者
神奈川県農業総合研究所
雑誌
神奈川県農業総合研究所研究報告 (ISSN:03888231)
巻号頁・発行日
no.142, pp.49-55, 2002-03

カラーピーマンは近年注目されている新野菜である。しかし、その栽培方法はまだ十分に検討されていないことから、有望品種の選定及びそれらの生理・生態的特性の解明に取り組んだ。収穫果数及び収穫重量を調査したところ、最も有望な品種は'バナナピーマン'で、「パプリカ」と総称される先端がしし形を有したカラーピーマンの中では'フィエスタ'が有望であると判断された。カラーピーマンの中で代表的な形質を有する品種を材料に、生理・生態的特性について解析を行った結果、開花後完熟するまでに積算温度で1,200~1,300℃、日平均気温15~20℃として60~85日で収穫に至ること、及び盛夏期には高温・多湿の影響を強く受けて、果実の肥大抑制や着果不良による収量低下が発生しやすいことが明らかになった。
著者
原 靖英 山元 恭介 北浦 健生
出版者
神奈川県農業総合研究所
雑誌
神奈川県農業総合研究所研究報告 (ISSN:03888231)
巻号頁・発行日
no.147, pp.1-6, 2005-03
被引用文献数
1

「湘南キャンディシリーズ」は、'湘南キャンディレッド'、'湘南キャンディピンク'及び'湘南キャンディルージュ'の3品種のバラである。'湘南キャンディレッド'は、1996年に、当所保有の中間母本同士の交配により育成された切り花用バラ品種で、2001年7月に種苗法による品種登録申請を行った。花色は明るい赤色で、花形はカップ咲き、花弁のタイプは半剣弁、花弁数は平均44枚と多く、スプレータイプとしてはやや大きめの花を咲かせる。花は1花茎あたり5輪程度つき、花の高さは良く揃い、2次的に発生する側蕾の数は少ない。切り花用として、年間を通して安定して収穫することができ、養液栽培に適している。'湘南キャンディピンク'及び'湘南キャンディルージュ'は'湘南キャンディレッド'から2001年1月に自然発生的に得られた花色の異なる変異枝を固定したもので、2003年9月に種苗登録申請を行った。花色は'湘南キャンディピンク'は淡いピンク色、'湘南キャンディルージュ'は濃いピンク色で、両品種とも花の形はオリジナルの'湘南キャンディレッド'とよく似ている。花は1花茎あたり4-5輪程度つき、花の高さは良く揃い、2次的に発生する側蕾の数は少ない。切り花用として、'湘南キャンディレッド'同様年間を通して安定して収穫することができ、養液栽培に適している。