著者
原田 仁 宮尾 祐介 金治 新悟 掛地 吉弘
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,手術動画を自動で文章化するプログラムの開発,および映像データと言語データが相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築である。手術動画内の解剖,器具,動作,事象を言語で意味付けし,機械学習によりパターン化させることで,手術動画から手術記録を自動作成するプログラムを開発する。また,映像と言語が互いに関連付けられた手術記録データベースを構築することで,膨大な手術データが客観性の高い均質化された手術記録として保存管理し,データベースから必要な映像データを言語で検索することを可能とする。具体的には,手術映像から選別した特定の場面を用いて,解剖,手術器具,動作,事象を認識しテキスト化する手術認識アルゴリズムを作成し,手術認識アルゴリズムを基に手術動画を自動で文章化するプログラムを開発するとともに,映像とテキストをリンクさせ相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築を目指す。手術認識アルゴリズムの作成においては,解析用コンピューターにインストールした専用ツールを用いて,手術動画内に登場する臓器・血管などの解剖,鉗子類などの手術器具,把持・切離などの手術操作,出血・血管の拍動などの体腔内の事象などに対し,名称や動作の属性を付与する。これにより言語で意味付けされた動画を保存,蓄積し,映像からテキストデータへの変換を,機械学習によりパターン化させる。機械学習のデータとしては,手術手技として規則性があることが望ましいと考えられる。そのため,手技が定型化された約100症例の腹腔鏡下胃切除の動画をサンプルデータとして使用する。
著者
前野 紀一 原田 仁平 黒田 登志雄 鈴木 啓三 東 晃 菅 宏
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1989

氷は気候や生命を含む地球上の数多くの現象や過程に関与し、その中で重要不可欠な役割をしている。この様な氷に関して、これまで多数の調査、研究が行われてきたがその多くは個別の分野で発表され、相互の情報交換が乏しかった。本総合研究は、わが国の種々の研究機関で氷に関連した研究を進めている総勢27名の研究者が集まり、氷の構造と物性に関する総合的理解を得る目的で組織された。本年度は各研究分担者間で相互の研究交換を実施するとともに、11月14、15日の2日間北大低温科学研究所で「氷のシンポジウム」の集会を催し、分担者以外の多数の参加者も加えて密な情報交換を行なった。この研究集会の成果は121ペ-ジの報告書としてまとめられた。本年度の総合研究の中では、氷の微視的構造の問題として、プロトン配置の対称性、プロトン配置に関連しての相転移、この相転移の進行を促進するアルカリ添加物の効果およびその誘電的・熱的検証、等が議論された。また雪結晶の成長機構、過冷却水からの氷成長、および氷の内部融解も新らたな研究課題として重要視された。力学特性としては依然として未解決の問題が多い多結晶氷のクリ-プ、雪の破壊機構等が議論された。高圧氷に関してはダイヤモンドアンビルによるその場観察の方法、高圧水のスペクトル解析が取り上げられた。なお、南極やグリンランド氷床深部の氷に関する測定からは、地球環境問題や氷床流動ダイナミックスにおける氷研究の必要性が示された。地球外の氷の問題としては、木星や土星の氷衛星の特徴が明らかにされ、その詳しい解釈には氷の広い圧力、温度領域における物性の解明が必要であると結論された。生命科学に関連しては生体高分子の水和の問題が取り上げられ、特に蛋白質の不凍水の動的性質が調べられた。