著者
黒田 登志雄 入沢 寿美 大川 章哉
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3-4, pp.44-50, 1979-12-25 (Released:2017-05-31)

When a polyhedral crystal grows from solution in a stable way, the supersaturation is not uniform over its interface (Berg effect). The rate of stable growth of a cubic crystal is determined by numerical calculations, by taking account of three dimensional diffusion field surrounding it and growth kinetics on the interface. It depends on the supersaturation σ_∞ at infinity as well as the crystal size L. Then, the shape stability is discussed. It is shown that a catastrophe occurs first at the center of the face, and the curve of stability limit, σ_∞ versus L, is obtained.
著者
黒田 登志雄 Lacmann Rolf
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.51-64, 1979-12-25

The new interpretation on habits ofice growing from vapour is proposed. The primary habits of ice alternate three times (plates→ - 4℃→ columns → -10℃ → plates→from -20℃ to -35℃ → columns) with decreasing temperature. The theory is based on a viewpoint that the surface of ice just below 0℃ is covered with a quasi liquid layer, whose depth or coverage 〓 decreases with falling temperature, and therefore the growth mechanism of a surface changes also as followings : i) Vapour-Quasi Liquid-Solid-Mechanism (〓>1) , ii) Adhesive Growth on a surface strongly adsorbed by water molecules (0.01<〓<1) and iii) Two Dimensional Nucleation Growth on a singular surface (〓<0.01) . As the change in surface structure as well as growth mechanism depend on surface orientation, the complicated habits change is caused mainly by the combination of growth mechanism of each surface, i.e. {0001} and {101^^-0 }. The first and second transition temperature are expected to be independent on absolute supersaturation Δp as same as experiments. On the other hand the third one is the temperature where the two dimensional nucleation growth of {0001} surface reaches the one of { 101^^-0}, so that it falls with decreasing Δp. The observed marked columnar crystals can be explained only by {0001} account of spherical volume diffusion field near taking surfaces and cylindrical one near {1010} surfaces. For plate like crystals between - 10℃ and -20℃ to -35℃ the surface diffusion from {0001} to {101^^-0} and volume diffusion with cylindrical symmetry near {101^^-0} surfaces are very important.
著者
黒田 登志雄 横山 悦郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.541-548, 1990-08-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
25
被引用文献数
1

雲の中の過冷却水滴の凍結によって球形の氷単結晶がまずつくられ, そこから雪の形態形成が開始される. その後の成長にともなって, 球から六角プリズムへ, さらには複雑な樹枝状形態へと時々刻々と新しい形がつくりだされるしくみをシミュレーションを交えて考察する. また, 氷結晶の表面融解が雪の晶癖変化や気相成長機構にどのように関連しているかを示す. さらに, 土の凍結によって地面が数10cmも隆起する凍上現象に土粒子と氷結晶の間に存在する擬似液体層が重要な役割を果たしていることにも言及する. これらの問題は, 非線形非平衡な系における形態形成の動力学の観点から, あるいは表面・界面物理の新しい問題として重要である.
著者
黒田 登志雄 横山 悦郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.541-548, 1990-08-05
被引用文献数
4

雲の中の過冷却水滴の凍結によって球形の氷単結晶がまずつくられ, そこから雪の形態形成が開始される. その後の成長にともなって, 球から六角プリズムへ, さらには複雑な樹枝状形態へと時々刻々と新しい形がつくりだされるしくみをシミュレーションを交えて考察する. また, 氷結晶の表面融解が雪の晶癖変化や気相成長機構にどのように関連しているかを示す. さらに, 土の凍結によって地面が数10cmも隆起する凍上現象に土粒子と氷結晶の間に存在する擬似液体層が重要な役割を果たしていることにも言及する. これらの問題は, 非線形非平衡な系における形態形成の動力学の観点から, あるいは表面・界面物理の新しい問題として重要である.
著者
前野 紀一 原田 仁平 黒田 登志雄 鈴木 啓三 東 晃 菅 宏
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1989

氷は気候や生命を含む地球上の数多くの現象や過程に関与し、その中で重要不可欠な役割をしている。この様な氷に関して、これまで多数の調査、研究が行われてきたがその多くは個別の分野で発表され、相互の情報交換が乏しかった。本総合研究は、わが国の種々の研究機関で氷に関連した研究を進めている総勢27名の研究者が集まり、氷の構造と物性に関する総合的理解を得る目的で組織された。本年度は各研究分担者間で相互の研究交換を実施するとともに、11月14、15日の2日間北大低温科学研究所で「氷のシンポジウム」の集会を催し、分担者以外の多数の参加者も加えて密な情報交換を行なった。この研究集会の成果は121ペ-ジの報告書としてまとめられた。本年度の総合研究の中では、氷の微視的構造の問題として、プロトン配置の対称性、プロトン配置に関連しての相転移、この相転移の進行を促進するアルカリ添加物の効果およびその誘電的・熱的検証、等が議論された。また雪結晶の成長機構、過冷却水からの氷成長、および氷の内部融解も新らたな研究課題として重要視された。力学特性としては依然として未解決の問題が多い多結晶氷のクリ-プ、雪の破壊機構等が議論された。高圧氷に関してはダイヤモンドアンビルによるその場観察の方法、高圧水のスペクトル解析が取り上げられた。なお、南極やグリンランド氷床深部の氷に関する測定からは、地球環境問題や氷床流動ダイナミックスにおける氷研究の必要性が示された。地球外の氷の問題としては、木星や土星の氷衛星の特徴が明らかにされ、その詳しい解釈には氷の広い圧力、温度領域における物性の解明が必要であると結論された。生命科学に関連しては生体高分子の水和の問題が取り上げられ、特に蛋白質の不凍水の動的性質が調べられた。