著者
原田 脩平 佐野 幸子 井上 貴裕
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.98-102, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
16

【はじめに】筆者らは,健康相談室の活動の一つとして,生体電気インピーダンス法による筋肉量,脂肪量などの測定を行っている。今回,筋肉量減少および脂肪量増加に対する予防の開始時期や注意点,男女の違いを明らかにすることを目的とした。【方法】埼玉県内の住宅団地やイベント会場などにて参加を呼びかけ承諾の得られた男女483人を対象者とした。測定にはマルチ周波数体組成計MC-780A(タニタ社)を使用し,測定値を年代別,性別に区分して分析した。【結果】筋肉量の年代ごとの変化では,男女ともに中年期以降で下肢の筋肉量の低下が有意にみられた。脂肪量は男性では青年期から壮年期にかけて有意に増加し,女性では中年期に男性よりも有意に多かった。【結論】男女ともに45歳以上の中年期から下肢筋力低下の予防の必要性が考えられた。脂肪量は,男性では青年期から壮年期にかけて増加を防ぐ必要があり,女性では中年期に過剰な蓄積を防ぐ必要があることが考えられた。
著者
原田 脩平 加藤 仁志 栗林 朋宏 轟木 信彦 吉澤 和真 松澤 正
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.F3P3585, 2009

【目的】マッサージにおいて効果が大きいとされている血液循環改善について検討した.本研究では下腿にマッサージを施行し,その前後の末梢側(足背)と中枢側(大腿)それぞれの皮下血流量の変化を明らかにすることを目的とした.<BR>【対象】対象者は循環障害などの疾患に問題のない健常大学生15名(男子9名,女子6名,平均年齢20.7±1.3歳)とした.ヘルシンキ宣言に基づき全対象者に同意を得た.なお,本研究は群馬パース大学の研究倫理委員会の承諾を受けて実施した.<BR>【方法】対象者を背臥位にして,マッサージ施行前後で末梢・中枢側の皮下血流量と血圧を測定し比較した.皮下血流量を測定するプローブは末梢側では足背,中枢側では大腿前面中央に貼付した.マッサージ試行の3,2,1分前のデータを測定し,基準値を決定した.続いて左下腿部に10分間マッサージを施行し,終了直後,5,10,15,20分後のデータを測定した.手技は下腿全体へ軽擦・圧迫・揉捏法を施行した.また,マッサージ施行前後に最大・最小下腿周径を測定し比較した.統計学的分析はWilcoxonの符号付順位検定にて行った.<BR>【結果】マッサージ施行後に末梢側・中枢側共に血流量が増加した(p<0.05).両者の変動は類似しており,5分後に減少し再び上昇した後,徐々に下降した.収縮期血圧において施行直後に低下がみられ,その後に大きな変動はなかった(p<0.05).下腿周径は最大・最小共に,施行後に減少した(p<0.05).<BR>【考察】マッサージ施行後に血流が増加したのは,マッサージにより滞っていた末梢側の血液が中枢側へ送られ,施行部の静脈管やリンパ管が空虚になり,そこへ新しい血液が急激に流れ込んだために血流量が上昇したと考えた.また,血流の変動は血流の上昇により中枢側へ流れ込んだ血流が滞り,血流量は5分後には施行前に比べ減少した.その後,滞っていたリンパ液が徐々に左静脈角で静脈に吸収されたことでリンパの流れが再び改善し,血管の周囲に張り巡らされているリンパ管による圧迫も軽減したことで,10分後の血流は再び上昇したと考えた.中枢側と末梢側による血流変化量については,同様な変化を示したため,浅・深膝窩リンパ節より上位のリンパ本幹で滞っていることが示唆された.血圧については,マッサージ施行により静脈環流量,心臓への血液流入量が増加した.それに伴い一回拍出量や心拍出量も増加したことで圧受容器が感知し,血管を拡張させた.これにより血管抵抗が低下し,血圧が低下したと考えられた.下腿周径において,施行前 後で有意にその値が低下したのは,末梢に滞っていたリンパ液が中枢側に還流されたためと考えた.本研究により,皮下血流量の上昇,血圧の低下,下腿周径の減少が認められたため,マッサージの血液循環の改善は認められた.
著者
原田 脩平 加藤 仁志 栗林 朋宏 轟木 信彦 吉澤 和真 松澤 正
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F3P3585, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】マッサージにおいて効果が大きいとされている血液循環改善について検討した.本研究では下腿にマッサージを施行し,その前後の末梢側(足背)と中枢側(大腿)それぞれの皮下血流量の変化を明らかにすることを目的とした.【対象】対象者は循環障害などの疾患に問題のない健常大学生15名(男子9名,女子6名,平均年齢20.7±1.3歳)とした.ヘルシンキ宣言に基づき全対象者に同意を得た.なお,本研究は群馬パース大学の研究倫理委員会の承諾を受けて実施した.【方法】対象者を背臥位にして,マッサージ施行前後で末梢・中枢側の皮下血流量と血圧を測定し比較した.皮下血流量を測定するプローブは末梢側では足背,中枢側では大腿前面中央に貼付した.マッサージ試行の3,2,1分前のデータを測定し,基準値を決定した.続いて左下腿部に10分間マッサージを施行し,終了直後,5,10,15,20分後のデータを測定した.手技は下腿全体へ軽擦・圧迫・揉捏法を施行した.また,マッサージ施行前後に最大・最小下腿周径を測定し比較した.統計学的分析はWilcoxonの符号付順位検定にて行った.【結果】マッサージ施行後に末梢側・中枢側共に血流量が増加した(p<0.05).両者の変動は類似しており,5分後に減少し再び上昇した後,徐々に下降した.収縮期血圧において施行直後に低下がみられ,その後に大きな変動はなかった(p<0.05).下腿周径は最大・最小共に,施行後に減少した(p<0.05).【考察】マッサージ施行後に血流が増加したのは,マッサージにより滞っていた末梢側の血液が中枢側へ送られ,施行部の静脈管やリンパ管が空虚になり,そこへ新しい血液が急激に流れ込んだために血流量が上昇したと考えた.また,血流の変動は血流の上昇により中枢側へ流れ込んだ血流が滞り,血流量は5分後には施行前に比べ減少した.その後,滞っていたリンパ液が徐々に左静脈角で静脈に吸収されたことでリンパの流れが再び改善し,血管の周囲に張り巡らされているリンパ管による圧迫も軽減したことで,10分後の血流は再び上昇したと考えた.中枢側と末梢側による血流変化量については,同様な変化を示したため,浅・深膝窩リンパ節より上位のリンパ本幹で滞っていることが示唆された.血圧については,マッサージ施行により静脈環流量,心臓への血液流入量が増加した.それに伴い一回拍出量や心拍出量も増加したことで圧受容器が感知し,血管を拡張させた.これにより血管抵抗が低下し,血圧が低下したと考えられた.下腿周径において,施行前 後で有意にその値が低下したのは,末梢に滞っていたリンパ液が中枢側に還流されたためと考えた.本研究により,皮下血流量の上昇,血圧の低下,下腿周径の減少が認められたため,マッサージの血液循環の改善は認められた.