著者
辰野 竜平 梅枝 真人 宮田 祐実 出口 梨々子 福田 翼 古下 学 井野 靖子 吉川 廣幸 髙橋 洋 長島 裕二
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.28-32, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
16
被引用文献数
2

トラフグ属魚類の小型種であるムシフグは,毒性に関する情報が乏しく食用として認められていない.そこでムシフグの毒性を明らかにするため,熊野灘で漁獲した10個体(雄9個体,雌1個体)を試料とし,各個体の皮,筋肉,肝臓,生殖腺(卵巣もしくは精巣)をマウス試験とHPLC蛍光検出法に供した.各部位から試験液を調製し,前述の2つの方法により毒力とテトロドトキシン(TTX)濃度を算出した.マウス試験の結果,皮,肝臓,および卵巣で毒性が認められたが,精巣と筋肉は無毒(<10 MU/g)であった.一方,HPLC蛍光検出法で10個体中2個体の筋肉から1.4~1.5 MU/gのTTXが検出されたことから,ムシフグの食用可否を検討するため,引き続き毒性の調査を行う必要があると考えられた.
著者
福田 翼 三田 理香 古下 学 原田 和樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.163, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】さつま砂糖漬け鯛は、江戸時代の料理集「鯛百珍料理秘密箱」(1785年)に記載されている薩摩地方の保存食である。さつま砂糖漬け鯛は、一夜干しにした鯛を三年味噌漬けにした後、砂糖に漬け込んで作られる。本研究では、各製造プロセス、特に三年味噌への漬け込みの有無がさつま砂糖漬け鯛の保存性ならびに風味に及ぼす影響を明らかにする事を目的とした。 【方法】さつま砂糖漬け鯛の製造は次の様に行った。まず、三枚におろしたタイに食塩を添加し、25˚Cで一昼夜干した。干したタイは3 mm程度にカットした。カットしたタイは、滅菌ガーゼに包み、三年味噌に漬け込んだ(20˚C・48時間)。味噌漬けにしたタイを滅菌済みガラス容器に入れ、0-50%の範囲で砂糖を添加した。これを20˚Cで保存した。適宜、サンプリングを行い、一般生菌数を測定した。また、保存1ヶ月の試料については、嗜好性評価を実施した。 【結果】一般生菌数の経時変化を調査した結果、時間経過と共に減少した。さらに、砂糖の添加割合が高い程、減少傾向が見られた。保存1ヶ月目において、砂糖添加割合0%では5.2×104 CFU/g、50%では6.8×103 CFU/gであった。一方、味噌漬けを行わない場合、保存1ヶ月目において、砂糖添加割合0%では2.1×107 CFU/g、50%では5.3×107 CFU/gであった。したがって、味噌漬けを行った場合、一般的な食品の腐敗レベル106 CFU/g以下となる事が明らかとなった。嗜好性評価を行った結果、砂糖添加割合が同等の場合、全ての場合において味噌漬けを行った「さつま砂糖漬け鯛」の方が高い評価となった。さらに、砂糖添加割合0%を基準とし評価を行った。その結果、砂糖添加割合25%もしくは50%が高い評価となった。