著者
藤田 尚文 福留 広大 古口 高志 小林 渚
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.12-25, 2017 (Released:2017-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は自尊感情などのストレス防御因子と心理的ストレス反応の関係を説明することであった。ストレスの窓モデルと命名されたモデルは4つの仮定をもっている。(a)ひとはストレスを受け取る窓を1個以上もっており, ストレスはその窓を通して個人内に侵入してくる。(b)個々の窓の受け取るストレスの強度分布は, 認知的評価をした結果, 値が基準化され, 平均を0, 分散を1とする正規分布の右側半分である。(c)個々の窓は, それぞれ独立に機能し, 侵入してきたストレスを受け取り, ストレスの強度を2乗したものがストレス反応となり, 最終的に個人のストレス反応は各窓から受け取った総和となる。(d)ストレスの窓の個数は防御因子と密接に関連し, 防御因子が強ければストレスの窓が少なく, これが弱くなるにつれてストレスの窓が多くなる。これらの仮定の数学的帰結として, 防御因子の強弱によって層化された各群のストレス反応が, 窓の個数分の自由度をもつχ2分布となる。本モデルは防御因子として消極的自尊感情や楽観性を用いたときストレス反応の分布をよく近似できた。さらに素因ストレスモデルにおける交互作用は本モデルから数学的に導かれることが本論文で議論された。
著者
古口 高志 山内 祐一 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.467-474, 2002-07-01

心療内科不登校入院治療例67例をDSM-III-R,IVに準じた形式で多軸評定した.各軸ごとに診断名を1〜8カテゴリーに分類した後,結果を集計,さらにその結果を基に性差と年齢差を検討した.この結果,1軸は摂食障害,不安障害,気分障害,2軸は未熟性,4軸は家庭内問題ストレス,いじめストレスがそれぞれ多症例に確認された.また,3軸になんらかの診断がなされた者は26例(39%)であった.年齢差,性差については, 1 軸診断数(カテゴリー該当数) : 中学生・高校生<大学生, 2 軸になんらかの診断を有する率 : 男<女であった.以上,不登校症例の病態特徴は多様であり,多側面からのアセスメントと対応が必要であると考えられた.