著者
井上 駿也 髙橋 裕司 前田 卓哉 田村 将希 阿蘇 卓也 野口 悠 高橋 知之 古山 駿平 尾﨑 尚代 古屋 貫治 西中 直也
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.181-186, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
16

リバース型人工肩関節全置換術(RTSA)後の自動屈曲可動域,臨床スコアに対して術前三角筋体積が関係するかを検討した.術後2年以上経過観察可能であったRTSA患者23名を包含した.画像解析ソフト上で三角筋を前部(AD),中部(MD),後部(PD)に区分けし,各部位の指数を得た.術後自動屈曲可動域(6カ月,1年,1.5年,2年)とJOAスコア(2年)との相関の有無を,Spearmanの相関係数を用い検討した.術前AD体積指数と術後各時期での自動屈曲可動域との相関係数は,0.57(p < 0.01),0.73(p < 0.001),0.72(p < 0.001),0.70(p < 0,001)と全ての時期で有意な正の相関を認めた.術前PD体積指数と術後各時期での自動屈曲可動域との相関係数は,-0.34(p=0.11),-0.49(p < 0.05),-0.56(p < 0.01),-0.63(p < 0.01)と術後6カ月以外の時期で有意な負の相関を認めた.JOAスコアとの相関は術前AD体積指数のみ0.50(p < 0.05)と有意な正の相関を認めた.術前AD体積指数が高い症例ほど術後自動屈曲可動域およびJOAスコアは高くなる傾向にあり,術前PD体積指数が高い症例ほど術後自動屈曲可動域獲得に難渋する可能性が示唆された.
著者
古屋 貫治 西中 直也 鈴木 昌 松久 孝行 小原 賢司 磯崎 雄一 大澤 一誉 田鹿 佑太朗 木村 亮介 筒井 廣明
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.593-597, 2019

<b>【目的】</b>プロ野球投手のメディカルチェック(MC)でみられる,MR画像のposterosuperior impingement(PSI)と身体機能 との関係は不明である.今回,PSIと当院で重視しているゼロポジション保持機能との関連性について検討した.<BR><b>【方法】</b>当院のMCで,2年連続でゼロポジション保持機能と投球側MR画像を調査しえたプロ野球投手8名を対象とした.ゼロポジション近似肢位での外旋筋力(Zero外旋),肘伸展筋力(Zeroリリース)を両側測定し,MR画像の経年変化でPSI不変群4例と増悪群4例を比較した.<BR><b>【結果】</b>両群ともZero外旋,Zeroリリース,Zero外旋/リリース比は左右差がなく,投球側のZero外旋/リリース比のみPSI増悪群で有意に高かった(p=0.0209).<BR><b>【結論】</b>PSIとZero外旋、Zeroリリースの筋力は相関がみられなかったが,投球側のZero外旋/リリース比には相関がみられた.画像でPSI所見がみられた場合は新たな障害発生のリスクとなる可能性があるため,注意深く経過を診ていく必要がある.