著者
古川 恭治
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.131-152, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
23

イベント発生ハザードを区分定数関数とすることで,ポアソン回帰によって生存時間分析を行うことができる.このアプローチは,Cox比例ハザード回帰などと比べて一般的ではないものの,ベースラインハザードの柔軟なパラメトリックモデリング,複数の時間依存共変量やランダム効果を含むモデルへの拡張を一般化線形/非線形モデルの枠組みで行うことができるという利点があり,大規模コホートの長期追跡データ解析ではポアソン回帰に頼らざるを得ない場合も少なくない.本稿はポアソン回帰による生存時間解析手法を定式化し,その特徴と性質について調べることを目的とする.特に,主要時間スケール因子の層別化の影響や時間依存共変量やランダム効果を含む場合の推定性能に焦点を当て,シミュレーションによってCox回帰など他手法との比較を行う.さらに,実データへの適用例を紹介し,ポアソン生存時間回帰が最も効果的とされる状況や今後の拡張について議論する.
著者
和泉 志津恵 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭治 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭二
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

分子疫学的因子や生活環境因子が, がん等の疾病リスクにどのような影響を与えるかを調べるために, 生活環境における曝露の寄与率を取り入れた因果推論モデルを構築し, 寄与率の推定値のばらつきを考慮した手法を開発した。提案手法は, m水準のカテゴリカルな曝露変数に対して, 曝露群の症例を曝露由来のものとそうでないものに確率的に分類し, 寄与率に基づくオッズ比により因果関係を推測する。実データに即した数値実験の結果, 曝露由来でないとして分類された曝露群の症例によって, 従来の方法において推測された因果関係の強さが過小評価されている可能性を示唆した。