著者
松田 もと子 永井 成美 折笠 史明 多田 建造 辰巳 浩輝 藤原 麻紀 古川 良俊 石橋 寛二 井上 昌幸
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.588-595, 1994-06-01
被引用文献数
2 1

歯科用金属に起因すると考えられる金属アレルギーが注目されており,その診断にパッチテストが用いられている.しかし,判定は主観に頼り,皮膚の変化を的確,経時的に把握することは困難である.本論文はパッチテストにおける客観的な判定システムを開発することを目的として,パッチテスト後の皮膚色を分光測色し,色彩学的に分析したものである.その結果,皮膚の発赤反応に色彩学的に特徴のある変化が観察された.皮膚の発赤反応を判定する客観的指標を示したものとして興味深い.
著者
小林 太郎 武部 純 似内 秀樹 古川 良俊 石橋 寛二
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.10-15, 2006-01-10
被引用文献数
3 2

症例の概要: 患者は54歳の男性. 1992年6月に左側口底部の腫瘤に気づき, 岩手医科大学歯学部附属病院口腔外科を受診した. 同年9月に下顎左側口底癌の診断のもと, 腫瘍摘出術が施行された. その後, 左側下顎骨放射線性骨壊死と下顎骨骨折が認められたため, 1993年3月に左側下顎骨区域切除が行われた. 術後経過は良好であったが再建は行われず, 1996年2月に補綴的機能回復を目的として第二補綴科を受診した. 下顎の患側偏位により上顎との咬合接触関係が失われていたため, 下顎顎義歯装着後, 1997年11月に下顎顎義歯ならびに下顎歯列との咬合接触部を設けた口蓋床を製作し装着した. 2001年4月に下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床を再製作後, 患側への偏位の抑制と咀嚼機能の改善が認められている.<BR>考察: 下顎の偏位の防止と咀嚼機能の回復を目的として, 口蓋部の咬合接触域にパラタルランプを付与した口蓋床を装着した. その結果, 咀嚼筋のバランスを保つことができ, 下顎の患側への偏位の抑制を図ることができた. 咀嚼機能と構音機能の改善程度を評価したところ, 下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床の装着により摂取可能食品の増加が認められた. また, 狭まったドンダーズ空隙を広げることにより, 構音機能の改善も認められた.<BR>結論: 下顎骨非再建症例における下顎顎義歯と, これに咬合接触する口蓋床の装着は, 下顎の患側への偏位の抑制と咀嚼機能の回復に有効であることが示された.