- 著者
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中村 和昭
諫田 泰成
山崎 大樹
片岡 健
青井 貴之
中川 誠人
藤井 万紀子
阿久津 英憲
末盛 博文
浅香 勲
中村 幸夫
小島 肇
伊藤 弓弦
関野 祐子
古江-楠田 美保
- 出版者
- 日本組織培養学会
- 雑誌
- 組織培養研究 (ISSN:09123636)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.123-131, 2018 (Released:2018-09-08)
- 参考文献数
- 4
近年、細胞培養に関連する技術の急速な開発に伴い、創薬研究、再生医療への応用など、細胞培養が貢献する分野が拡大している。培養細胞を利用する上において重要な点の一つとして、適切な状態の細胞を用いることが挙げられる。そのためには、使用する細胞の状態を把握することが重要である。その手段として、生きている細胞を非侵襲的に観察できる倒立位相差顕微鏡が汎用されている。倒立位相差顕微鏡による観察から得られるのは形態情報や細胞密度のみではあるものの、その観察は培養細胞を用いた実験の信頼性と再現性を担保するために有用な手段である。生きている細胞の観察の手法には様々な留意点がある。そこで、細胞培養の観察における基本概念を共有すべきと考え、「細胞培養の観察の基本原則」案を作成した。本基本原則案は、顕微鏡観察に先立つ細胞の目視、低倍率・高倍率での倒立位相差顕微鏡観察、観察のタイミング、適切な記録と保存などに関して7条項から構成されている。この基本原則の概念が共有され、細胞培養技術を用いた研究の信頼性が向上することを期待する。