著者
古畑 昌巳
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.418-425, 2015
被引用文献数
2

本研究では国内外138品種・系統のイネを供試して,乾田直播栽培における低温乾燥土中出芽性および出芽関連形質について評価を行った.その結果,低温乾燥土中播種条件における出芽速度と播種後35日目の出芽率および初期生育量との間には高い正の相関関係が認められた.この出芽速度と嫌気発芽条件での鞘葉の伸長速度との間には有意な相関関係は認められず,低温乾燥土中出芽性の良否に嫌気発芽条件での鞘葉の伸長性は寄与していないことが示唆された.また,この出芽速度と発芽速度との間には有意な正の相関関係が認められ,発芽の遅速が出芽の遅速に影響し,最終的な出芽・苗立ち率および初期生育量が異なることが示唆されたことから,早期の発芽が乾田直播栽培の出芽・苗立ち向上にとって重要であると考えられた.
著者
福嶌 陽 楠田 宰 古畑 昌巳
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.173-178, 2001-06-05
参考文献数
12
被引用文献数
6

暖地のコムギ作における収穫の早期化を実現するための基礎的知見を得るため, 早播きした秋播性コムギの分げつの発育の特徴を明らかにした. 秋播性程度の高いイワイノダイチ(秋播性程度IV)と対照品種のチクゴイズミ(同I〜II)を, 1998年の10月26日(極早播き), 11月5日(早播き), 11月24日(標準播き)に播種し, 栽培した. 単位面積当たりの最高茎数は, イワイノダイチがチクゴイズミより著しく多かった. 単位面積当たりの穂数は, イワイノダイチがチクゴイズミよりやや多く, また播種期が遅いほどやや多かった. 個体を対象として分げつの発育過程をみると, いずれの播種期や品種においても分げつは主茎の出葉にともなってT1, T2, T3およびその同伸分げつのT1P, T4およびその同伸分げつのT11とT2Pの順に規則的に出現した. イワイノダイチはチクゴイズミよりT4, T11, T2Pなどの高位・高次の分げつの出現率が高かったが, これらの分げつは無効化することが多かった. 有効分げつでは出葉速度は主茎とほぼ同じであったが, 無効分げつでは出葉速度は次第に低下し, 出葉の停止, 枯死に至った. そこで, 無効分げつは, その出葉速度が主茎の半分以下となった時点で無効化したとして, 個体当たりの分げつ数の推移をみたところ, 早播きのイワイノダイチの分げつ数が最大となる時期は早播きのチクゴイズミより遅く, 標準播きのイワイノダイチ, チクゴイズミより早かった. このような分げつ数の推移は幼穂の発育と密接に関連していることが示唆された.
著者
古畑 昌巳 帖佐 直 大角 壮弘 松村 修
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.10-17, 2012 (Released:2012-01-26)
参考文献数
32

寒冷地の湛水直播栽培条件における水稲品種の出芽・苗立ち性およびそれに寄与する特性について十分明らかにされていないため,寒冷地で育苗箱を利用して低温土中出芽検定を行うと同時に,出芽・苗立ちに寄与する可能性がある発芽特性および嫌気発芽条件における鞘葉の伸長性についても調査を行った.その結果,低温土中出芽検定における出芽速度は,初期生育量と高い正の相関関係(r=0.773)を示し,低温での嫌気発芽条件における鞘葉の伸長速度との間に有意な正の相関関係(r=0.528)が認められた.また,低温でのシャーレ発芽条件における発芽係数と低温土中出芽検定における出芽率(r=0.376)および初期生育量(r=0.215)との有意な正の相関関係は認められたが,この要因については明らかにできなかった.