- 著者
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武岡 洋治
松村 修
KAUFMAN Peter B.
- 出版者
- 日本作物学会
- 雑誌
- 日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.4, pp.544-550, 1983-12-05
- 被引用文献数
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作物の恒常的な発育を保つ上で外気に接する表皮系組織の果たす役割は大きい. 表面構造の変化と珪質化の面からこの組織の構造と機能を明らかにする目的で研究を行い, 機動細胞に形成される珪酸体を迅速, 簡便かつ広範囲に測定する方法を検討した. その結果, 非晶質ゲル(amorphous gel, SiO_2・nH_2O)の形をとる珪酸体が軟X線をよく吸収する性質を利用して, 葉内に分布する珪酸体の鮮明画像を得ることが可能になった. 本法は次の二つの過程から成る. すなわち, 1) 試料の調整から葉内の珪酸体画像を得る過程, 2) 得られた画像写真から珪酸体の葉内分布パターン, 面積などを計測する過程. 実験には土耕栽培による水稲品種短銀坊主の第5葉と, 同じく赤坊, 岩賀. 栄光の各止葉を供試した. 過程1: 採取した葉身をホルマリン・アルコール・酢酸混合液で5日間固定したのち水洗し, アイロンで乾燥する. この標本を黒色ビニール袋に密封したFG型フィルム上にのせ, 8KeV, 5mAに調整した軟X線照射装置(ソフテックス, M-1005 NA型)のミクロ照射部で1分間照射する. レンドールにより現像したネガフィルムを焼付けして珪酸体画像を得る. 過程2: 珪酸体の画像写真を対話式画像解析システム(Photem IBAS, Zeiss)にかけ, 調査項目を指定して必要とする図表を描かせる. この方法による利点は, 1) 植物組織の珪酸(体)同定のために開発された従来の灰像法, 組織化学などの方法に比べてはるかに簡便迅速に試料調整ができる. そのため多数の試料を比較的短時間に処理することができる. 2) 広範囲にわたる面積を撮影できるため葉身1枚の珪酸体分布を測定することができる. 3) あらかじめプログラミングをしておけば画像解析システムにより分布密度, 面積などの測定と統計処理を迅速に行うことができる. 4) 組織切片の軟X線画像から珪酸体及び類似性物質の組織内分布を調べることができる.