著者
横手 顕 合馬 慎二 高橋 和範 原 文彦 吉田 邦広 坪井 義夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.420-424, 2020 (Released:2020-06-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は64歳,女性.40歳頃より軽度のコミュニケーション障害が出現したが日常生活に支障はなかった.59歳から健忘,幻覚,妄想といった認知機能障害が出現し,約5年の経過で錐体路,錐体外路症候が出現し,歩行困難となった.脳MRIにて大脳の萎縮,脳梁の菲薄化,両側前頭葉優位に大脳白質病変を認めた.コロニー刺激因子1受容体(colony stimulating factor 1 receptor; CSF1R )のexon 18内にp.R777Qの変異を認めた.明らかな家族歴はなく,神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症と診断した.本症例のように軽度の精神症状を呈して長期期間経過した臨床経過は希少であり報告する.
著者
山口 裕美子 合馬 慎二 野々熊 真也 長町 茂樹 坪井 義夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.407-413, 2020 (Released:2020-06-06)
参考文献数
17
被引用文献数
2

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)とレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies; DLB)の鑑別における心理検査と脳画像の感度,特異度を77名の患者において,MMSE(Mini-Mental State Examination)からAla Scoreを算出,脳血流99mTC-ECD SPECT統計画像解析よりCIScoreを測定し年齢別に検討した.その結果Ala ScoreとCIScoreの値は79歳以下群で相関が見られ(r = 0.485, P = 0.002),80歳以上群では相関はなく鑑別が難しくなることが示唆された.両群ともAla Score,CIScore両者を用いると単独より特異度とAUC(area under the curve)が高く日常診療で可能なこれらの検査を用いて疾患鑑別の感度,特異度が向上する可能性が示唆された.