著者
山口 裕美子 合馬 慎二 野々熊 真也 長町 茂樹 坪井 義夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.407-413, 2020 (Released:2020-06-06)
参考文献数
17
被引用文献数
2

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)とレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies; DLB)の鑑別における心理検査と脳画像の感度,特異度を77名の患者において,MMSE(Mini-Mental State Examination)からAla Scoreを算出,脳血流99mTC-ECD SPECT統計画像解析よりCIScoreを測定し年齢別に検討した.その結果Ala ScoreとCIScoreの値は79歳以下群で相関が見られ(r = 0.485, P = 0.002),80歳以上群では相関はなく鑑別が難しくなることが示唆された.両群ともAla Score,CIScore両者を用いると単独より特異度とAUC(area under the curve)が高く日常診療で可能なこれらの検査を用いて疾患鑑別の感度,特異度が向上する可能性が示唆された.
著者
長友 慶子 長町 茂樹 石田 康
出版者
メディカルレビュー社
雑誌
Pharma medica (ISSN:02895803)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.133-137, 2003

ウイルス増殖抑制物質として1950年代に発見されたインターフェロン(IFN)は,悪性腫場・ウイルス性肝炎を中心に頻用されており,1992年には本邦でC型慢性肝炎に対しての保険適応を得た。IFNには,その一般的な副作用としての頭痛・発熱・倦怠感・食思不振などのほか,不眠・抑うつ状態・操状態・幻覚妄想・意識障害などの精神症状も数多く報告されており,コンサルテーション・リエゾン精神医学の領域で重要な問題となっている。###今回のわれわれは,C型慢性肝炎に対するIFN投与の中止から約3週間後に顕性化したせん妄の症例の脳血流量の経時的変化を観察し,臨床像と比較検討した。また,この症例の治療経過中,非定型抗精神病薬の1つであるクエチアピン投与後に,過鎮静や錐体外路症状などの副作用も出現することなく,せん妄による幻覚・妄想・精神運動興奮などの精神症状が消失したことに関しても若干の考察を加える。