著者
吉丸 雄哉
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
no.19, pp.104-121, 2012-11-24

虚像としての忍者は、忍術がつきものであり、それが登場する忍者の話は一定の型を持つ。浅井了意『伽婢子』(寛文六年(一六六六)刊)は「飛加藤」と「窃の術」の二つの忍者の話を収める。該話はそれぞれ中国の『五朝小説』の構成を参考にしたが、原話に出てくる剣侠のかわりに、超人的な忍術を使う忍者を登場させた。「超人的な忍術を駆使して忍者が大事なものを奪うために潜入する」という構成の話の嚆矢にあたる。その後、この話の型は井原西鶴『新可笑記』などに継承され『賊禁秘誠談』で一定の完成を見た。この形式の話は広く膾炙し、史実を述べることが前提の由緒書に記された忍者像にもその影響が見える。
著者
吉丸 雄哉 Yoshimaru Katsuya
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 = Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.37, pp.17-26, 2020-03-31

公益財団法人石水博物館に現在収蔵されている一四代当主川喜田政明(号は石水)が安政の大地震について記した『はなしの種』という写本を紹介する。嘉永七年(安政元年)から一連の安政の大地震が発生するが、このうち嘉永七年六月一三日に発生した伊賀上野地震および同年一一月四日の安政東海地震と五日の安政南海地震について書き残したのが『はなしの種』である。『はなしの種』はまず記された地震の状況が地震史料として大きな価値がある。また、射和の竹川家、伊豆にいた松浦武四郎、江戸店と往還の使用人などから政明のもとに地震の情報が入っている状況を確認することで、川喜田家が構築していた情報網を知ることができる。さらに、地震にまつわる狂歌を収録することで、災害に対して人々がどのような心情を抱いたかという地震文学としての考察ができることに価値がある。本稿は資料の書誌情報、構成、翻字を紹介し、解説を加えたものである。
著者
吉丸 雄哉 Yoshimaru Katsuya
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 = Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-14, 2021-03-31

公益財団法人石水博物館に現在収蔵されている一四代当主川喜田政明(号は石水)の文事のなかから、教訓・道徳を短歌形式で記した教訓歌をとりあげる。川喜田石水の文事は多岐にわたっているが、教訓歌はその筆頭と石水がみなしていた重要な文芸である。石水は出版ができる状態の稿本である『教訓歌選』(館蔵番号一二七ー一三)を編纂しておきながら、実際には出版の意図はなかった。これはほかの出版可能な稿本を同じで、本人は出費を避け、後代に上梓は任せたものと思われる。収録された道歌はもともとは童蒙の手引きを意図したもので、なにかの本を引き写したのではなく、石水が日頃耳慣れていた歌を書き留めたと思われる。『教訓歌選』は近世後期の伊勢商人がどのようなモラルをもっていたかをうかがうことができる重要な資料であり、実際に『教訓歌選』に示された道徳は石水の妻政子を通じて、孫の半泥子に受け継がれたことが確認できる。
著者
吉丸 雄哉 よしまる かつや
出版者
三重大学日本語日本文学研究室
雑誌
三重大学日本語学文学 (ISSN:09184449)
巻号頁・発行日
vol.26, no.別冊, pp.1-40, 2015-07-30
著者
吉丸雄哉著
出版者
新典社
巻号頁・発行日
2008