著者
大関 崇 吉富 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.162-172, 2013-06-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
13

太陽光発電システムが持つ上記の特徴は,電源構成の豊富さや新規雇用創出といったメリットを社会にもたらす一方,ハザードをも内包している.各種構成要素から発生するリスクとして,電気火災,電気感電,構造物飛散,設計・施工時の人身事故などが想定される.太陽光発電システムを本格的にエネルギー源として利用するためには,メリットをより拡張しつつ,これらリスクに関して,個人財産および公衆安全の観点から許容可能なところまで低減する必要がある.本稿ではこれらのリスクのうち,直流電気火災に注目し,事前の火災防止・抑止の観点と,発生後の消火活動における消防士保護の観点におけるリスク等を概説することで安全工学の研究者の方々と太陽光発電システムの現状について情報共有することを目的とする.
著者
吉富 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.445-454, 2014-12-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
11

太陽光発電システム(PVS)には,陽が当たる限り発電を止めることが出来ない性質があり,火災時には消防隊員が感電する恐れから消火活動が困難になることがある.また,PVS は屋外に設置されているため,風・雪・地震と言った自然の作用による構造事故も引き起こしてきた.このようにPVS の危害は火災と構造事故とに二大別1)できる.PVS を健全なエネルギー源に成長させるためには,少なくとも個人財産保護の観点からこれらリスクを許容可能なレベルにまで低減する必要がある.そこでこれまで期待総費用最小化原理が提唱されてきた.しかし,火災・構造事故には期待利益の無い第三者を一方的に加害する恐れがある.そこで本稿では,公衆安全優先のための無加害原則を提唱する.この無加害原則は,期待総費用最小化原理に優先させる必要があると考える.