著者
辰巳 寛 山本 正彦 仲秋 秀太郎 波多野 和夫
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.514-524, 2012-09-30 (Released:2013-10-07)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

失語症者とのコミュニケーションに対する家族の自己効力感評価尺度を開発した。予備調査による内容的妥当性の検証を経て, 16 項目からなるコミュニケーション自己効力感尺度 (Communication Self-Efficacy Scale : CSE) の原案を作成した。本調査では, 失語症者の家族介護者86 名にCSE と一般性セルフ・エフィカシー尺度 (GSES) , Zarit 介護負担感尺度 (ZBI) , コミュニケーション介護負担感尺度 (COM-B) , 抑うつ評価尺度 (GDS-15) を実施した。その結果, CSEの欠損値比率は0.7 %で, 天井・床効果を示した項目はなく, Good-poor 分析にて全項目の識別力を確認した。探索的因子分析では3 因子が抽出され因子的妥当性を確認した。CSE 総得点とGSES, ZBI との相関はそれぞれrs = 0.215, -0.335, COM-B (4 因子) との相関はrs =-0.317 ~-0.440 と有意であった。CSE のCronbach's α係数は0.938 で内的整合性は優れていた。CSE は失語症者とのコミュニケーション場面に特化した家族の自己効力感を評価する尺度として高い妥当性と信頼性を有しており, 臨床的有用性を十分に備えたスケールであると判断した。
著者
澤木 優治 山本 裕泰 本村 和也 山本 正彦 古川 研治 斉藤 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001706, (Released:2022-08-26)
参考文献数
27

左頭頂葉白質を中心とした脳梗塞により第一言語である日本語と第二言語である英語の混同および音韻性錯語を呈した左利きバイリンガル症例について報告した.症例は日本語および英語のバイリンガルである46歳の左利き女性であった.本症例では発症急性期より理解面は聴覚・視覚のいずれの経路も良好に保たれた一方で,表出面においては日本語発話時に日本語と英語の混同を認めた.拡散テンソル画像の分析から,本例の言語症状の出現には左下頭頂小葉直下の白質線維である上縦束や弓状束の関与が示唆された.
著者
高野 浩一 森下 宗彦 山本 正彦 山県 香 高田 勝利
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.769-774, 1977-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

BCG-CWS was administered in 30 patients with primary lung cancer, and in most cases this was in conjunction with other therapeutic procedures such as irradiation, chemotherapy and/or surgery.Oil-attached BCG-CWS was prepared by homogenizing 4mg of BCG-CWS, two drops of mineral oil and 2ml of 0.2% Tween 80 saline.Two hundred μg of BCG-CWS was injected intradermally every week. In patients with carcinomatous pleuritis, 400μg of BCG-CWS was injected into the pleural cavity every week.Prolonged survival periods in advanced lung cancer cases treated with BCG-CWS was observed in comparison with historical controls. Most of the patients showed increased PPD skin reaction and increased in vitro PHA response after BCG-CWS administration.As adverse reactions, minimal skin ulceration was observed in 37% of the patients, and fever in 57% after repeated intradermal injection of BCG-CWS, none of which necessitated the interruption of immunotherapy. No serious side effects, however, have been observed during the BCG-CWS treatment.
著者
辰巳 寛 山本 正彦
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.362-367, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
43

Aphasia greatly influences a patient's quality of life (QOL). Recovery from aphasia requires a long time, and improvements in anterior language function can be difficult to achieve. Aphasia is a major obstacle for returning to work and thus can have serious economic consequences.The diagnosis of aphasia requires a qualitative assessment (classification of type of aphasia) and a quantitative judgment (severity assessment). Importantly, the various symptoms that constitute the pathology of aphasia must be understood when making a qualitative assessment. Quantitative assessments must also be evaluable using a systematic objective test.The mainstream of aphasia treatment is the classical stimulus–facilitation method. Recently, a cognitive neuropsychological approach, a pragmatic approach, and Melodic Intonation Therapy have also attracted attention as possible therapies. Furthermore, studies on pharmacotherapy and noninvasive therapy for aphasia are proceeding.The psychosocial study of aphasic persons and their families has become a very important theme. Lately, a depression rating scale and a QOL rating scale for people with aphasia, a family's communication burden scale, and a communication self–efficacy scale have been developed. Clinically, it is important to provide hospitable support to both people with aphasia and their families.
著者
内藤 堅志 恩田 哲也 岡本 武志 山本 正彦 越野 忠則 青木 玲
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-23, 2023 (Released:2023-04-18)
参考文献数
29

Standard advice for beginner and intermediate snowboarders is to place your weight on the front foot when following the fall line or traversing the slope. This stance is considered best for beginner or intermediate snowboarders who are learning how to shift their center of gravity to the front of the board to turn the nose toward the fall line[ called‘nosedrop’in Japanese] or to rotate the board when traversing the slope. The purpose of this study is to determine whether this is also the best stance for advanced snowboarders. Our research suggests that when snowboarders make a carving turn, excessive pressure on the forefoot may make it difficult to perform an ideal turn as the tip of the board may cut into the snow surface more than necessary and create more resistance than necessary. In this study, we measured the pressure distribution and center of pressure( COP) applied to the soles of both feet when the vertical movement was performed while standing straight or leaning forward with respect to the slope. The results showed that the pressure distribution of the forefoot decreased when all subjects moved vertically. In addition, when all subjects moved vertically, the COP moved nearer the center of the stance. The results suggest that it is possible to perform carving turns with less deceleration by standing up vertically, and as a result preventing the tip of the board from digging into the snow surface more than necessary and consequently receiving more resistance from the snow surface than necessary.
著者
山本 正彦 吉岡 さおり 岩脇 陽子
出版者
一般社団法人 日本専門看護師協議会
雑誌
日本CNS看護学会誌 (ISSN:21895090)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-9, 2021-11-10 (Released:2021-11-10)
参考文献数
17

本研究は,がん看護専門看護師の役割行動の実態と役割行動能力に関連する要因を明らかにすることを目的とした.全国の病院に勤務するがん看護専門看護師636名を対象に質問紙調査を実施した.質問紙は,専門看護師における自律性測定尺度におけるCNS役割行動,ENDCOREsコミュニケーションスキルスケール,育成環境に対する認識項目,属性で構成した.CNS役割行動を従属変数とする重回帰分析を行った.調査の結果,266名(有効回答率42.5%)の有効回答が得られた.重回帰分析の結果,コミュニケーションスキルを示す「他者受容」「自己主張」「自己統制」,育成環境を示す「活動支援の程度」「職務規程の有無」などの要因との関連が示された.看護管理部の役割開発における育成環境の支援整備とともに,がん看護専門看護師自らも組織に所属する管理職や専門職と協働できる高度なコミュニケーションスキルの獲得が重要であることが示唆された.
著者
川原 暉弘 石原 太聞 林 夏 迫田 大河 武田 龍祐 姜 有宣 李 容旭 辛 徳 山本 正彦 大海 悠太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.2G4ES403, 2020 (Released:2020-06-19)

ランニングやウォーキングなどのスポーツの現場での人物動作分析を目指し、人物に自動で追尾して骨格分析を行うドローンシステムの開発を行なった。 ドローンにはJetson NanoマイコンとPixHawkフライトコントローラ、カメラを搭載し、カメラ入力映像をOpenPoseで解析、人物と距離を保ちながら撮影を行なう。
著者
辰巳 寛 佐藤 正之 前島 伸一郎 山本 正彦 波多野 和夫
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.243-252, 2017-09-30 (Released:2018-10-01)
参考文献数
108

19 世紀フランスの外科医 Paul Broca (1824 ~1880) による Leborgne とLelong の臨床神経病理学的報告は, 今日の「失語症学aphasiology」あるいは「言語の神経心理学 neuropsychology of language」の誕生に大きく貢献した。前頭回の一つ (おそらく第三) , une circonvolution frontale (probablement la troisième) を「構音言語の座 le siège de langage articulé」として推究した Broca は, その領域の部分的損傷により惹起する特異な話し言葉の喪失 perte de la parole をaphémie と名付けた。 Broca の aphémie は, Armand Trousseau (1801 ~1867) によるaphasie/aphasia (失語症) への呼称変更を経て, Carl Wernicke (1848 ~1905) による感覚失語sensorische Aphasie, および伝導失語 Leitungsaphsie の記載, その後の Ludwig Lichtheim (1845 ~1928) の失語図式 Wernicke-Lichtheimʼs AphasieScheme (1884) による古典的失語論の萌芽とともに, 当初 Broca が提唱した言語病理像とは些か様相の異なる「皮質性運動失語 kortikale motorische Aphasie」として位置付けられ, 以後広く認知されるに至った。 Broca の独創的研究から派生した失語学的問題の幾つかは, 現代に至っても決定的解答は得られておらず, 失語症研究の最重要テーマとして存在し続けている。
著者
杉山 明宏 牧野 日和 大澤 功 山本 正彦
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.38-46, 2020-04-30 (Released:2020-08-31)
参考文献数
33

【目的】本研究は,日本版感覚プロファイル短縮版(SSP-J)を用いて高齢者の触覚過敏が脱感作療法によって軽減するかどうかを明らかにし,拒否反応の状態および開口保持の状態が変化することで,口腔機能に影響を与えるか否かを検討することである.【対象および方法】嚥下障害の診断で入院し,言語聴覚士(ST)が嚥下訓練を実施した患者522 名から,1)自立した口腔ケアが困難な者,2)触覚過敏による拒否反応によって看護師の口腔ケアおよび食事の介助が困難な者,3)認知症と診断されている者,を満たした患者を抽出した.年齢は,SSP-J に準拠して65 歳以上82 歳までとした.訓練は,ST による脱感作療法後に口腔ケアを1 週間に5 回の頻度で行い,5 週間継続した.SSP-J による感覚刺激反応,改訂口腔アセスメントガイド(ROAG)による口腔機能の評価を行った.さらに,脱感作療法中の拒否反応の変化および口腔ケア中の開口保持方法の変化を記録した.【結果】抽出患者は20 名であった.脱感作療法後は,SSP-J の触覚過敏性および拒否反応が低下し,触覚過敏が軽減した.口腔機能の改善は特に「唾液」の項目で顕著であった.8 症例で開口保持具が不要となり,口腔ケアを受容した.【考察】脱感作療法の継続的な施行によって,高齢者の触覚過敏に軽減を認めた.先行研究より高い改善傾向を示した.脱感作療法においては,一度の介入時間を延長するよりも一定の介入で集中的に訓練するほうが有効である可能性が示唆された.脱感作が奏功しなかった患者に対しては,他の表在・特殊感覚刺激を複合・統合的に導入した新たな脱感作療法の構築が重要である.脱感作療法後は,開口保持が容易となったことで固有口腔内の口腔ケアが施行可能となった.ROAG における唾液の項目に改善がみられ,口腔内湿潤度が増加したと考えられた.
著者
木村 瑞生 山本 正彦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.141_3, 2018

<p> 本研究では、野球の打撃動作遂行における2つ要素(タイミング、コース:内角・外角)を変化させたときの反応時間を調べた。被験者は、神奈川大学野球連盟(2部)に所属する硬式野球部員10人(18~22歳)であった。本実験での打撃動作の反応時間(BS-RT)は、警告信号から光刺激までの時間(タイミング)とコース(赤色:内角、緑色:外角)を調節できる光刺激装置を用いて測定した。打者は構え姿勢をとり、前方15mの光刺激装置からの光刺激提示後できる限り素早く打撃動作を開始しT-スタンドのボールをヒットした。この際の光刺激提示からT-スタンドのボールをヒットするまでの時間をBS-RTとした。本実験では、光刺激のタイミングが一定(Tc)とランダム(Tr)、光刺激のコース(光の色)が一定(Sc)とランダム(Sr)の条件を組み合わせ、Tc-Sc、Tc-Sr、Tr-Sc、Tr-Srの4条件で内角と外角のBS-RTを比較した。その結果、Tc-Sc以外の3条件において内角のBS-RTの値の方が外角のそれより有意に小さかった。つまり、打者が投手から投球されたボールを打つ際、選択要素が1つでもある場合は内角の打撃動作の方が短時間に遂行されることが示唆された。</p>
著者
山本 正彦 荒井 秀夫 河原 伸 岸 不盡弥 倉島 篤行 近藤 有好 坂谷 光則 佐藤 滋樹 原 耕平 水谷 清二 一山 智 喜多 舒彦 久世 文幸 斎藤 肇 下出 久雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.599-605, 1998-10-15
被引用文献数
65

日本結核病学会治療委員会は1987年に「非定型抗酸菌症の治療に関する見解」を発表したが, 本委員会は, 最近の10年間の非定型抗酸菌症に関する研究の進歩を踏まえて, 「非定型抗酸菌症の治療に関する見解-1998年」を公表することとした.