著者
長竿 淳 野尻 あゆ美 進藤 順治 吉岡 一機
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.79-87, 2017-12-22 (Released:2018-05-04)
参考文献数
20

スローロリス(Nycticebus coucang)の上腕腺における組織学的特徴について検討した。上腕腺は組織学的ならびに超微細構造学的にアポクリン腺に類似し,形態の異なる3つの終末部と毛包に開口する導管から構成されていた。免疫組織化学的性状に関しては,上皮マーカーであるcytokeratin AE1/AE3抗体とエックリン腺マーカーであるS-100 Protein抗体ならびにCD44抗体に対して陰性で,アポクリン腺マーカーであるCD15抗体に対して陽性を示す終末部と,上皮マーカー,エックリン腺マーカー,アポクリン腺マーカーのいずれのマーカーにも陽性を示す終末部が認められた。以上より,スローロリスの上腕腺は形態的にアポクリン腺の特徴を示す3種の異なる終末部から構成され,免疫組織化学的性状に関しては,アポクリン腺と,アポクリン腺およびエックリン腺両者の特徴を有する腺の2種類の終末部から構成されると推察された。
著者
大野 秀樹 大脇 将夫 中島 尚志 吉岡 一機 武藤 顕一郎 小山田 敏文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.929-932, 2012-12-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14

猫の膝関節に,大腿骨と膝関節の関節包の間に膝関節筋があることを確認した.膝関節筋は1歳までは発達するが,加齢に従い筋線維は退縮し脂肪組織に置換する傾向がみられた.また筋紡錘の分布密度が高く,退縮した筋を充塡する脂肪組織の間にも筋紡錘が残存していた.この理由から猫においては加齢に従い膝関節筋の肉眼的観察が困難になり,今までその存在が明らかにならなかった.また,膝関節筋が機能的には膝関節筋の動力学的モニターとして機能していることが示唆された.