著者
進藤 順治 吉田 直幸
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.23-26, 2001-03

新潟市水族館で飼育されている10羽のオスのフンボルトペンギンの精液量と精子濃度を1年間測定した。フンボルトペンギンの精液は7月から8月中旬の換羽期以外は,高い割合で採取することができた。精液量は一年を通し0.02mlから0.04mlの間で推移していた。平均精液量は0.026±0.009mlであった。精子濃度は10月から2月の間は高い値で推移し,一方換羽期間は著しく低下していた。平均精子濃度は21.9±11.2 10^8/mlであった。今回の結果から,最も繁殖に適した時期は晩秋から早春にかけてであると思われた。
著者
三村 春奈 伊藤 里恵 岡田 あゆみ 瀬戸 静恵 進藤 順治 杉浦 俊弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.125-128, 2013-12-19 (Released:2014-03-14)
参考文献数
12

北海道千歳市周辺で捕獲され,う蝕様病変のみられた54頭のアライグマについて,歯種ごとの発生調査と年齢査定を行った。う蝕様病変は,臼歯に集中し,特に後臼歯が重篤な状態であった。また,歯石の付着は49頭で観察され,う蝕様病変と同様に臼歯に集中していた。病変のみられた年齢の個体は,1.5歳未満と5.5歳以上で少なく2.5歳から4.5歳が約60%を占めていた。さらに,う蝕様病変の病態は加齢に伴い重症化する傾向がみられた。
著者
長竿 淳 野尻 あゆ美 進藤 順治 吉岡 一機
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.79-87, 2017-12-22 (Released:2018-05-04)
参考文献数
20

スローロリス(Nycticebus coucang)の上腕腺における組織学的特徴について検討した。上腕腺は組織学的ならびに超微細構造学的にアポクリン腺に類似し,形態の異なる3つの終末部と毛包に開口する導管から構成されていた。免疫組織化学的性状に関しては,上皮マーカーであるcytokeratin AE1/AE3抗体とエックリン腺マーカーであるS-100 Protein抗体ならびにCD44抗体に対して陰性で,アポクリン腺マーカーであるCD15抗体に対して陽性を示す終末部と,上皮マーカー,エックリン腺マーカー,アポクリン腺マーカーのいずれのマーカーにも陽性を示す終末部が認められた。以上より,スローロリスの上腕腺は形態的にアポクリン腺の特徴を示す3種の異なる終末部から構成され,免疫組織化学的性状に関しては,アポクリン腺と,アポクリン腺およびエックリン腺両者の特徴を有する腺の2種類の終末部から構成されると推察された。
著者
進藤 順治 小林 寛
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.79-81, 2003 (Released:2018-05-04)
参考文献数
11

フンボルトペンギンの舌骨装置を観察した。中舌骨はすべて軟骨で構成され舌組織に埋没し,舌と同様に矢尻型を呈していた。底舌骨は短く,後舌骨と癒合していた。舌骨角のうち,角は中舌骨後方で小さく突出し,鰓角は角鰓骨と上鰓骨から構成され,その比は約3:1であった。フンボルトペンギンの中舌骨はすべて軟骨から成り,底舌骨と後舌骨の癒合は,この種の特徴であると思われた。
著者
進藤 順治 阿部 隆士 山口 隆幸 小林 寛
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.105-109, 2000 (Released:2018-11-03)
参考文献数
19

フンボトルペンギンの精子形態と大きさに関する報告はない。今回, フンボルトペンギンの精子形態を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し, また各部位の長さを測定した。精子は, 紐状で頭部は細長くやや湾曲していた。全長ならびに各部位の長さを測定した結果, 全長は73.8±3.6μmであった。頭部は11.4±0.9μmで, 先体は1.1±0.2μm, 核は10.3±0.8μmであった。尾部は62.6±3.8μmで, 中片部は2.8±0.2μmであった。フンボルトペンギンの精子形態は典型的なnon-passerine birdsのグループに属し, また全長は他種よりもやや小型であった。