著者
工藤 和浩 吉村 達雄 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.566-571, 1995-06-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

2%ケトコナゾールクリームで脂漏性皮膚炎を長期治療したときの有効性, 安全性および有用性を検討した。外用方法は適量を被験部位に1日2回単純塗擦することとした。治験を実施した全7症例の最終全般改善度は, 治癒4例, 著明改善1例, 改善1例, 不変1例であり高い改善率(6/7, 86%)を示した。治療期間中, 副作用の発現や臨床検査値の異常変動は認められず, 本剤の安全性の高さを確認した。今回の報告症例は大学病院という施設の関係上少数ではあるが, 2%ケトコナゾールクリームは脂漏性皮膚炎の治療に有用な薬剤になり得るとの印象を得た。
著者
富田 靖 吉村 達雄 根東 義明 五十嵐 裕 伊藤 祥輔
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.473-479, 1992

6ヵ月男児のメンケス病の一例を報告した。本例は低血清銅値と低セルロプラスミン値, 発育不良, 筋痙攣発作などの典型的症状を示した。皮膚症状としては, 頭髪の低色素ないし白髪と捻転毛を示した。これら諸症状は, 銅利用の先天的な欠陥が引き起こした銅酵素群の活性低下によるものである。頭髪のユウメラニンおよびフェオメラニン含量は健常人の半分程度で, 銅酵素であるチロシナーゼの活性低下が示唆された。乳幼児に白髪や捻転毛を示す疾患は限られており, これら頭髪の症状の出現は本症の診断に重要な意味を持つと考える。