著者
内田奈生 熊谷直憲 根東義明
出版者
医薬ジャーナル社
雑誌
血液フロンティア (ISSN:13446940)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.205-214, 2019-01-30

腎臓は生体の恒常性の維持に重要な役割を果たしており,腎機能が低下すると高血圧,浮腫,電解質異常,心不全などが起こる。慢性腎臓病の患者数は増加の一途であるが,現行の治療は対症療法や進行抑制にとどまり,失われた腎機能を回復する手段は腎移植のみである。そのため,腎臓の再生医療に期待が寄せられ,研究が進められている。本稿では,腎臓病に対する幹細胞治療の現状,Muse細胞を用いた腎臓病治療の基礎実験と展望を紹介する。
著者
富田 靖 吉村 達雄 根東 義明 五十嵐 裕 伊藤 祥輔
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.473-479, 1992

6ヵ月男児のメンケス病の一例を報告した。本例は低血清銅値と低セルロプラスミン値, 発育不良, 筋痙攣発作などの典型的症状を示した。皮膚症状としては, 頭髪の低色素ないし白髪と捻転毛を示した。これら諸症状は, 銅利用の先天的な欠陥が引き起こした銅酵素群の活性低下によるものである。頭髪のユウメラニンおよびフェオメラニン含量は健常人の半分程度で, 銅酵素であるチロシナーゼの活性低下が示唆された。乳幼児に白髪や捻転毛を示す疾患は限られており, これら頭髪の症状の出現は本症の診断に重要な意味を持つと考える。
著者
山北 勝夫 菅野 敦之 大道 久 根東 義明 梅里 良正
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.189-197, 2013 (Released:2013-09-10)
参考文献数
10

厚生労働省は,医薬品のトレーサビリティの確保に加え医薬品の取り違え事故防止等を目的として新バーコード表示を推進している。本研究は,保険薬局において,新バーコードを活用して医薬品のトレーサビリティを実現するためにどのような課題があるか検証し,さらに,医薬品の取り違え防止効果等にどのような効果があるか分析した。当保険薬局において,医薬品のトレーサビリティを実現するためには,システムの追加や既存システムの機能変更等,様々な課題があったが,医薬品の最終消費者である患者まで,処方薬の製造番号又は製造記号ごとに追跡することが可能となる情報管理システムを構築することができた。また,このシステムは医薬品の取り違え防止等のインシデントレポート件数を20.3件/月から0.6件/月に減少させるなど保険薬局の業務改善に有効であることが示唆された。医薬品のトレーサビリティの実現は,医薬品の不具合が発見された時点で最終消費者である患者に安全情報を素早く提供することが可能となり,医療事故防止に大きく貢献できるものと考える。