著者
吉澤 卓哉
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.627, pp.1-30, 2014-12

大成火災破綻(2001年)の原因は,ある再保険プールを介した海外再保険取引にあると言われている。この海外再保険取引は永年に亘るものであるが,大成火災が原告となった米国税務訴訟の判決(1995年)で当時の当該海外再保険取引の実態を窺うことができる。他方,破綻時の取引実態は,大成火災役員や当該再保険プールのマネジング・エージェントの関係者に対する損害賠償請求訴訟や仲裁の資料から窺うことができる。本稿は,両取引実態を分析したうえで比較することによって,米国税務訴訟判決時点において,既に大成火災破綻へと繋がる取引実態となっていたこと,したがって当該時点で破綻への途から外れることができた可能性があることを明らかにするものである。
著者
吉澤 卓哉
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.627, pp.627_1-627_30, 2014-12-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
18

大成火災破綻(2001年)の原因は,ある再保険プールを介した海外再保険取引にあると言われている。この海外再保険取引は永年に亘るものであるが,大成火災が原告となった米国税務訴訟の判決(1995年)で当時の当該海外再保険取引の実態を窺うことができる。他方,破綻時の取引実態は,大成火災役員や当該再保険プールのマネジング・エージェントの関係者に対する損害賠償請求訴訟や仲裁の資料から窺うことができる。本稿は,両取引実態を分析したうえで比較することによって,米国税務訴訟判決時点において,既に大成火災破綻へと繋がる取引実態となっていたこと,したがって当該時点で破綻への途から外れることができた可能性があることを明らかにするものである。
著者
吉澤 卓哉
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.1-63, 2017-08-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
101
被引用文献数
3

本稿は,直接請求権のない示談代行商品の意義を確認したうえで,直接請求権のない示談代行商品が弁護士法72条に抵触しないかどうかを検討するものである。検討の結果,たとえ直接請求権が存在しなくても,保険者が実施する示談代行は同条に抵触しないことが明らかになった。なぜなら,賠償責任保険における責任関係と保険関係との強い牽連性があり,たとえ責任関係の拘束力が認められないとしても,保険法で賠償保険金に対する先取特権が被害者に付与されたことからすると,同条における他人性を排除する程度に強い本人性が保険者に認められると考えられる。また,仮に本人性が認められないとしても,正当業務行為として違法性が阻却されると考えられるからである。 わが国において,保険者による示談代行は,自動車保険から個人向け賠償責任保険全般へと拡がり始めたが,未だ企業向け賠償責任保険では導入されていない。示談代行制度が保険契約者にとっても被害者にとっても有用だとすると,直接請求権の存否にかかわらず,必要に応じて事業者向け賠償責任保険にも導入していくべきであるが,直接請求権を設けないで示談代行制度を導入することは,法的にも実務的にも可能だと考えられる。