著者
兼子 唯 中澤 佳奈子 大月 友 伊藤 大輔 巣山 晴菜 伊藤 理紗 山田 和夫 吉田 栄司 貝谷 久宣 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.43-54, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、社交不安障害(SAD)を、全般型(GSAD)と非全般型(NGSAD)のみでなく、自覚された生理的覚醒の高低で分類し、社交不安症状、注意バイアスの違いを検討することであった。SAD者16名と健常者6名を対象に質問紙調査と修正ドット・プローブ課題を実施した。課題では、自動的/統制的処理段階における否定的評価、肯定的評価、生理的覚醒に対する注意バイアスを測定した。分散分析の結果、GSAD・NGSAD・健常者の比較、自覚している生理的覚醒の高・低・健常者の比較では有意な差は示されなかった。しかし注意バイアス得点を0と比較した結果、NGSAD群は自動的処理段階で肯定的評価に対して、自覚された生理的覚醒の高いSAD群は統制的処理段階で生理的覚醒に対して、注意バイアスが大きいことが示された。この結果から、SADの状態像を検討する必要性とそれぞれに有効な介入方法について考察された。