著者
中沢 正隆 葛西 恵介 吉田 真人 廣岡 俊彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.11, pp.315-328, 2022-11-01

本論文では次世代RAN (Radio Access Network)の実現に向けて我々が提案してきているフルコヒーレントアクセスシステムについて述べる.最初に2010年代の4Gから2020年代の5G更に2030年代の6Gに向けての大きな変革としてD-RAN (Distributed RAN)からC-RAN (Centralized RAN)への進化について述べた後,それとともに今まで開発されてきた各種モバイルフロントホール(MFH: Mobile Fronthaul)について説明する.その中で将来に向けてのフルコヒーレント伝送の重要性を浮かび上がらせ,我々が実験を行ってきている無線・光融合型フルコヒーレント伝送方式について述べている.この方式は光信号と無線信号をIF (Intermediate Frequency)が異なる一つの電磁波伝送として捉えるものであり,構成が簡単でありかつ高性能を実現できる興味深い手法である.光と無線を一体として捉えることにより,光伝送部分で発生する誤りを無線のFEC (Forward Error Correction)で補正できるなど今まで考えられなかった特徴がある.更に,その実現のために重要な技術として,注入同期による信号光とLO (Local Oscillator)光との高精度位相同期技術について詳細に述べる.この高精度な位相同期はLD (Laser Diode)が1台という簡単な構成で実現できるため,256 QAMのような高い多値度の光伝送にも応用可能であることを示した.最後に,フルコヒーレントアクセスシステムの高度化のために重要な光・電子デバイス更にはその集積化技術について述べている.
著者
亀卦川 学 長谷川 英明 吉田 真人 廣岡 敏彦 中沢 正隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.257, pp.51-56, 2003-08-14
参考文献数
13

我々はこれまでに従来の光ファイバをフォトニック結晶ファイバ(PCF)に接続する場合にはクラッド部の屈折率の差から大きなフレネル反射が生じることを報告した。これは従来のファイバ接続にはない巨大フレネル反射であり、フォトニック結晶ファイバを光部品や伝送路に用いる場合にはその反射が問題となる。本論文ではPCFと従来ファイバの接続特性をさらに詳細に測定し、その接続点におけるフレネル反射光強度をレイリ散乱のレベルまで抑制する接続条件を明らかにした。また、ファイバ接続点付近におけるPCFの断面構造をSEMで観測し、フレネル反射の低減とPCFのクラッド部における空孔形状の関係を議論した。
著者
小野 敦 吉田 真人 中沢 正隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.262, pp.25-30, 2004-08-20
参考文献数
13

高調波再生モード同期エルビウムファイバレーザはGHz帯で数ピコ秒のトランスフォームリミットなパルスを容易に発生できるため、超高速光通信用光源として注目されている。またこのようなファイバレーザは共振器長が長くレーザ共振器のQ値が高いため、その発振線幅が1kHz以下と狭線幅であり、縦モード間のビート信号を用いた高純度な光マイクロ波発振器としての応用も期待できる。今回我々は共振器長の大幅な可変を目指して、レーザの利得媒質として従来のエルビウム添加ファイバ(EDF)の代わりに半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)を用いた10GHzモード同期SOAファイバレーザを作製し、その発振に成功した。またその発振線幅について詳細に測定したので報告する。