著者
田中 章浩 吉田 誠克 諫山 玲名 藤原 康弘 笠井 高士 中川 正法
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.219-222, 2011 (Released:2011-03-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

症例は78歳の男性である.左前頭部痛,鼻痛,左眼瞼下垂,左視力低下,左眼球運動障害のため当科に入院した.頭部MRIにて左眼窩先端部と左中頭蓋窩硬膜に異常造影効果をみとめた.左蝶形骨洞開放術にてアスペルギルス様糸状菌をみとめ,髄液アスペルギルス抗原陽性より,副鼻腔アスペルギルス症による眼窩先端症候群と診断した.早期の副鼻腔ドレナージと抗真菌薬投与により感染症の沈静化がはかられた.本例の副鼻腔アスペルギルス症は,副鼻腔と眼窩の隔壁の破壊をみとめない"非浸潤型"であったが,眼窩先端症候群や肥厚性硬膜炎などの頭蓋内病変を呈していた.本例では髄液アスペルギルス抗原陽性が診断の参考となり,早期の抗真菌薬の投与が有効と考えられた.
著者
前田 憲多郎 岩井 克成 小林 洋介 辻 裕丈 吉田 誠克 小林 靖
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.198-201, 2018 (Released:2018-03-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は受診時51歳女性.6年前より頸部の重みを自覚.1年前から頸部伸展障害が増悪し,歩行障害が加わった.首下がりを主訴に当院を受診した.頸部伸展筋力低下,構音・嚥下障害,頻尿・便秘を認め,両側バビンスキー徴候陽性であった.歩行は小刻みかつ痙性様であった.頭頸部MRIで延髄・脊髄の萎縮を認めた.遺伝子検査でGFAPに本邦ではこれまで報告のない変異p.Leu123Pro(c.368T>C)を認め延髄・脊髄優位型アレキサンダー病(Alexander disease; AxD)(2型)と診断した.首下がりを呈する(AxD)の報告は散見されるものの,本例は首下がりを初発症状とした点が特徴であり,その機序に対する考察を加えて報告する.