著者
金 壮律 半田 麻子 石川 博之 吉田 重光 飯田 順一郎
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.112-117, 2001
被引用文献数
6

本研究の目的は, 口蓋部瘢痕組織が上顎の前後的成長に如何なる機序で影響を及ぼすのかを実験的に検討することである.生後20日齢の雄ウィスター系ラット45匹を用い, 粘膜骨膜を剥離することにより横口蓋縫合前後の口蓋両側部に瘢痕組織を形成した実験群, および無処置群の2群に分けた.さらに実験群を5群に分け術直後から術後8週目まで, それぞれ2週間おきに10%中性緩衝ホルマリン液にて灌流固定を行い, 上顎を切り出した.その後, 金属片を前方から3本目の口蓋ヒダの正中部とその後方約10mmの位置に埋め込んだ後, 軟X線撮影を行った.前後的成長量の計測は軟X線写真上で矯正用ノギスを用い, 頬骨前縁部と両側第一臼歯近心間, さらに両側第一臼歯近心と底蝶形口蓋縫合間の計測を行った.また, 計測値は埋め込んだ2本の金属片距離の実測値と軟X線写真上へ投影された金属片の距離で補正した.その結果, (1)両側第一臼歯近心と底蝶形口蓋縫合間距離においては, 実験群が無処置群に比べ前後的増加量は少なく, (2)頬骨前縁部と両側第一臼歯近心間距離においては, 実験群と無処置群の間では前後的増加量に大きな差は認められなかった.(3)無処置群においてはラットの顎発育に前後的な成長スパートが認められたが, 実験群ではそれが認められなかった.これらの実験結果から, 口蓋部瘢痕組織は上顎の前後的成長を抑制し, それは瘢痕組織により横口蓋縫合部での骨添加が阻害されたためと推測された.また, 顎発育の成長スパート以前に縫合をまたいで形成された瘢痕組織は, 上顎の前後的成長を大きく抑制することが示唆された.
著者
吉田 重光 石崎 明 土門 卓文 足利 雄一 井上 貴一朗 黒嶋 伸一郎 沢 禎彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

今回の研究では、口腔内および口腔以外のリンパ管を介した免疫機構を明らかにするため、免疫で重要な役割を果たす複数のタンパク質の研究を行いました。その結果、口腔内では部位によりリンパ管の果たす役割が異なる可能性を、また口腔以外では、いくつかのタンパク質が相互連携していることを明らかにしました。以上から、全身のリンパ管は、物質輸送だけではなく免疫機構にも関与することが分かりました。