著者
楠元 正順 吉里 雄伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1256, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】競技パフォーマンス向上にはスポーツ障害・外傷予防が大きく関与している。そのため,スポーツ障害・外傷に関する調査は多く報告されている。しかし,ウエイトリフティング競技に関する報告はほとんどみられない。そこで,我々は,H26年度よりウエイトリフティング競技者へのアンケート調査を行い,第51回日本理学療法学術大会にて高校生における調査結果を報告した。今回,大学ウエイトリフティング競技者を対象にアンケート調査を行った。本研究の目的は,大学ウエイトリフティング競技者における痛みの現状を明らかにすることである。【方法】男子大学生50名(平均年齢19.88±1.14)のウエイトリフティング競技者を対象とし,痛みについてアンケート調査を実施した。回答方法は,選択回答と自由記載とした。質問内容は,痛みについて,質問1「現在,練習中に痛みがありますか?」,質問2「痛みはウエイトリフティング競技を始める前からありますか?」,質問3「どのように痛くなりましたか?」,質問4「痛いがある部位はどこですか?(複数回答可)」,質問5「どのような動作をしていて痛くなりましたか?(複数回答可)」,5項目について集計を行った。【結果】アンケート回収率は100%であった。競技者は大学1年生17名(34.0%),大学2年生16名(32.0%),大学3年生12名(24.0%),大学4年生5名(1.0%)であった。質問1については,ある35名(70.0%),ない15名(30.0%)であった。質問2については,ある5名(14.3%),ない30名(85.7%)であった。質問3については,徐々に痛くなった23名(65.7%),1回で痛くなった12名(34.3%)であった。質問4については,肩12名(20.7%),肘2名(3.4%),手首8名(13.8%),腰14名(24.1%),膝12名(20.7%)であった。質問5については,スナッチ4名(8.0%),クリーン10名(20.0%),ジャーク9名(18.0%),スクワット15名(30.0%),デッドリフト8名(16.0%),その他2名(4.0%),練習外2名(4.0%)であった。【結論】今回の調査では,痛みを有している競技者は7割であり,多くはウエイトリフティング競技開始後に発生していた。痛みの発生は,1回で痛くなった場合よりも徐々に痛くなった場合が多かった。痛みのある部位は腰,肩と膝,手首,肘の順に認めた。痛みが発生した動作は,スクワット,ジャーク,クリーンなどバーベルを床から持ち上げる,または肩より上方で支える動作であった。今回の結果は,ウエイトリフティング競技における痛みに関して注目すべき動作や痛みの発生部位を示した。痛みの発生要因は,競技者の技術的な差や特異的な競技動作の各局面の特徴が影響していると考えられるため,今後は学年別や競技動作と痛みとの関連を検討していく必要がある。
著者
原野 達也 二宮 省悟 田島 慎也 西原 翔太 吉里 雄伸 石塚 利光 松山 裕
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.289-293, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
22

〔目的〕ストレッチポールひめトレが,側腹筋厚と股関節内転筋力へ及ぼす影響について検証すること.〔対象と方法〕対象は健常な大学生62名とし,ストレッチポールひめトレを使用してトレーニングを行う群,トレーニングのみ行う群,何も行わない群の3群に設定.期間を3週間とし,1週間に3回のトレーニングを実施.初期と最終で側腹筋厚と股関節内転筋力を測定し,変化率を算出した.〔結果〕ストレッチポールひめトレを使用してトレーニングを行う群の股関節内転筋力に有意な増加が認められ,また,その筋力の差は女性で高い増加を示した.側腹筋厚の変化は認められなかった.〔結語〕ストレッチポールひめトレを用いた3週間トレーニングは,側腹筋厚は変化しないが,股関節内転筋力を向上させる可能性があることが示唆された.