著者
中村 豊郎 沼田 正寛 吉野 裕一 糸沢 きみ子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.283-289, 1983
被引用文献数
1

と畜血液を有効利用する目的で,現在比較的入手の容易な市販乾燥プラズマ(血漿タンパク)の食肉製品への利用の可能性を検討した。すなわち,ポークソーセージ,ビーフハンバーグではプラズマによる原料肉の一部置換,ロースハムではプラズマ割増添加を行って製品を試作し,諸性状を調べた。その結果を要約すると次の通りである。<BR>(1) ポークソーセージとハンバーグでは原料肉と10%前後(乾燥プラズマに対し4倍量の水を添加後の重量として)の置換が,ロースハムでは約1%の割増添加が可能であるとの示唆を得た。<BR>(2) 栄養面を考慮すると,粗タンパク含量では十分満足できるものの,テクスチャーが多少劣化した。これは,プラズマの添加量が少なかったことおよび加熱温度が低かったことにより,プラズマのゲル形成機能を十分に引き出し得なかったためと考えられ,プラズマと他の添加物との併用,加水率の減少,加熱条件などの検討が必要と考えられた。<BR>(3) 市販乾燥プラズマの品質は,メーカー間でかなり差があり,それは呈味性の差によく現われた。