著者
佐藤 雅彦 中村 豊郎 沼田 正寛 桑原 京子 本間 清一 佐藤 朗好 藤巻 正生
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.274-282, 1995-03-25
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

和牛がなぜおいしいかを解明する一助のために,銘柄牛とされる5種類の和牛の香気および呈味成分について検討した.理化学的分析の結果は以下のとおりである.<br>(1) 赤肉部の分析では,ペプチドの分子量分布,ヒスチジン関連ジペプチドおよび核酸関連物質に銘柄による顕著な差は認められなかった.全アミノ酸量およびグルタミンは飛騨牛で多く,松阪牛で少なかった.<br>(2) 脂質の分析では,いずれの銘柄牛もほとんどHPLCにおける保持時間(Rt)55分以降にピークが存在し,そのピークパターンは類似していた.脂質の融点は,神戸牛,米沢牛および松阪牛で低く,前沢牛および飛騨牛で高かった.<br>(3) 加熱香気分析では,加熱後の牛肉試料中の脂質含量に差はないが,回収された香気画分の量,香気画分中の窒素化合物において前沢牛が多く,香ばしいことが予想された.また,官能基別分類では,酸類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類に銘柄による相違が認められ,これらは脂質に由来する化合物の差が現れていると考えられた.
著者
佐藤 雅彦 中村 豊郎 沼田 正寛 桑原 京子 本間 清一 佐藤 朗好 藤巻 正生
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.274-282, 1995-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

和牛がなぜおいしいかを解明する一助のために,銘柄牛とされる5種類の和牛の香気および呈味成分について検討した.理化学的分析の結果は以下のとおりである.(1) 赤肉部の分析では,ペプチドの分子量分布,ヒスチジン関連ジペプチドおよび核酸関連物質に銘柄による顕著な差は認められなかった.全アミノ酸量およびグルタミンは飛騨牛で多く,松阪牛で少なかった.(2) 脂質の分析では,いずれの銘柄牛もほとんどHPLCにおける保持時間(Rt)55分以降にピークが存在し,そのピークパターンは類似していた.脂質の融点は,神戸牛,米沢牛および松阪牛で低く,前沢牛および飛騨牛で高かった.(3) 加熱香気分析では,加熱後の牛肉試料中の脂質含量に差はないが,回収された香気画分の量,香気画分中の窒素化合物において前沢牛が多く,香ばしいことが予想された.また,官能基別分類では,酸類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類に銘柄による相違が認められ,これらは脂質に由来する化合物の差が現れていると考えられた.
著者
沼田 正寛 河口 麻紀 中村 豊郎 荒川 信彦
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.397-405, 1992-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

海水塩および海水塩中の微量成分を所定の割合で塩化ナトリウムと混合した調製塩を用いて,タンパク質の抽出性,ミオシンBの加熱ゲル形成能および食肉加工品の品質に及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た.(1)タンパク質の抽出性および抽出したタンパク質中に占めるミオシンの割合は,海水塩中の微量成分あるいは調製塩中の硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムの増加に伴って上昇した.これらの変化は抽出液のイオン強度の変化と対応する傾向を示したが,硫酸カルシウムを含む調製塩では,ミオシンの抽割合が特に増加した.(2)ミオシンBの加熱ゲル強度も海水塩中の微量成分あるいは調製塩中の硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムの増加に伴って上昇した.昇傾向は40℃から80℃まで,すべての加熱領域で認められたが,その範囲内では加熱温度が高いほど顕著であった.しかし,加熱ゲルの微細構造に供試食塩による差は認められなかった.(3)生ハム,ロースハムおよびボロニアソーセージの保水性や色調に供試食塩による差は認められなかった.前2者では加熱ゲル強度も変化しなかった.しかし,後者では前項までの結果が硬さの増加として現れる傾向を示し,それは硫酸カルシウムを含む調製塩で有意に認められた.呈味性は生ハムで変化がみられ,微量成分の割合が最も高い海水塩および塩化マグネシウムを含む調製塩でまろやかさが向上し,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムを含む調製塩では後味がよいと評価された.
著者
中村 豊郎 沼田 正寛 吉野 裕一 糸沢 きみ子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.283-289, 1983
被引用文献数
1

と畜血液を有効利用する目的で,現在比較的入手の容易な市販乾燥プラズマ(血漿タンパク)の食肉製品への利用の可能性を検討した。すなわち,ポークソーセージ,ビーフハンバーグではプラズマによる原料肉の一部置換,ロースハムではプラズマ割増添加を行って製品を試作し,諸性状を調べた。その結果を要約すると次の通りである。<BR>(1) ポークソーセージとハンバーグでは原料肉と10%前後(乾燥プラズマに対し4倍量の水を添加後の重量として)の置換が,ロースハムでは約1%の割増添加が可能であるとの示唆を得た。<BR>(2) 栄養面を考慮すると,粗タンパク含量では十分満足できるものの,テクスチャーが多少劣化した。これは,プラズマの添加量が少なかったことおよび加熱温度が低かったことにより,プラズマのゲル形成機能を十分に引き出し得なかったためと考えられ,プラズマと他の添加物との併用,加水率の減少,加熱条件などの検討が必要と考えられた。<BR>(3) 市販乾燥プラズマの品質は,メーカー間でかなり差があり,それは呈味性の差によく現われた。