著者
呉 哲男
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-10, 1995-01-10 (Released:2017-08-01)

今日の文学研究は、共同体を維持するために不可欠なヘテロセクシュアル(異性愛)のみを普遍的な愛とする近代の社会制度に同調し、性の領域に対して自由な感受性を働かせることを抑圧してきた。ここではフーコーの提起した「自己への配慮」(『性の歴史』)という概念を援用して、大伴家持と池主の「交友」の基底にホモセクシュアルな感情が流れていることを論じ、『万葉集』の宴席歌における挨拶性という問題を再検討した。
著者
呉 哲男
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.2-9, 2011

<p>日本の古代王権は、律令国家の形成を支えるイデオロギーとして神の系譜に連なる王の物語を持ったが、これはいわば自己言及的なものであって、併せて外部に照らして自己確証できるものを必要とした。そこで導入されたものが中華帝国の採用する華夷秩序であった。その要請に従って、周縁的なものとして創出された「異言語・異文化」であったが、それは実は「王権」のもう一つの自画像に他ならないことを、否応なく突きつけられたのであった。</p>
著者
呉 哲男
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.10-17, 1997-01-10 (Released:2017-08-01)

戦後いちはやく国文学に実証的な批評を導入し、古代文学研究の先端を切り開いた存在として西郷信綱がいる。西郷は本居宣長の国学批判から出発し、その負の遺産を構造主義で乗り越えようとした。現在の自己完結的な古事記研究もそれを基本的に継承している。

1 0 0 0 OA 反白川静論

著者
呉 哲男
出版者
相模女子大学
雑誌
相模国文 (ISSN:03029999)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.101-107, 2013-03
著者
呉 哲男
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-10, 1995-01-10

今日の文学研究は、共同体を維持するために不可欠なヘテロセクシュアル(異性愛)のみを普遍的な愛とする近代の社会制度に同調し、性の領域に対して自由な感受性を働かせることを抑圧してきた。ここではフーコーの提起した「自己への配慮」(『性の歴史』)という概念を援用して、大伴家持と池主の「交友」の基底にホモセクシュアルな感情が流れていることを論じ、『万葉集』の宴席歌における挨拶性という問題を再検討した。