- 著者
-
呉 堅
山川 純
田畑 泉
吉武 裕
樋口 満
- 出版者
- The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
- 雑誌
- 体力科学 (ISSN:0039906X)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.5, pp.543-548, 2000-10-01 (Released:2010-09-30)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
-
4
4
本研究では閉経後女性を対象にして, 2年間の水泳運動が骨量減少に対し抑制効果をもつか否かを調査した.本研究には22名の水泳実施者 (平均年齢59.5歳) と19名の対照者 (平均年齢59.3歳) が参加した.水泳群は1回1時間の水泳運動を週平均1.5回行った.骨密度は腰椎 (第2~第4椎骨) と大腿骨頸部近位部 (大腿骨頸部, 大転子部とワーズ三角部) を二重エネルギーX線吸収法 (DXA) により測定した.また脚伸展パワーは脚伸展パワー測定装置を用いて評価した.測定はベースライン, 1年と2年後に行った.身長, 体重, カルシウム摂取量および日常の身体活動状況はベースラインにおいて二群間に差がなく, 2年間における変化も小さかった.脚伸展パワーにおいては, 水泳群にのみ1年と2年後に有意な増加があった.水泳群では2年間で大腿骨頸部, 大転子部とワーズ三角部の骨密度にそれぞれ4.4%, 5.7%と3.4%の増加がみられた.これに対して, 対照群では三ヶ所の骨密度の変化はそれぞれ-0.2%, 1.0%と-1.4%であった.これら3部位の骨密度の変化率を2群間で比較すると有意差が認められた.しかし, 水泳群の腰椎の骨密度は対照群と同様に減少を示し, 変化率に関して対照群と差がなかった.これらの結果は, 閉経後女性において2年間の水泳運動が大腿骨近位部の骨密度および脚伸展パワーに有益な影響を及ぼすことを示唆している.