著者
中島 正己 和田 伊佐雄 加瀬 康弘
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.147-152, 2014-06-10 (Released:2014-08-20)
参考文献数
18

閉塞型睡眠時無呼吸 (OSAS) における鼻腔開存性を検討するため, ポリソムノグラフィー施行予定の患者48名を対象として, 座位と仰臥位でそれぞれ鼻腔通気度測定法と音響鼻腔計測法 (AR) による測定を行った. AR による比較では, 座位に比べ, 仰臥位のほうが最小鼻腔断面積, 鼻腔容積共に減少する傾向にあった. さらにこの変化は仰臥位になってから5分後にすでに生じていた. 座位から仰臥位に体位変換することにより, 鼻腔抵抗値は増加し, 生理学的な変化を生じると共に, 鼻腔容積や鼻腔最小断面積の減少により鼻腔開存性が変化し, 解剖学的な変化も生じると考えられた. この変化が OSAS 患者の病態に関連することが予想された.
著者
和田 伊佐雄 加瀬 康弘 飯沼 壽孝
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.678-684, 2003-06-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
26
被引用文献数
10 9

外耳道異物は,日常外来でしばしば遭遇する疾患である.病態が単純であり診断も容易であるためか臨床像の分析あるいは多数例に基づく臨床統計的な検討についての報告が少ない.本研究では,1986年1月から2001年12月までの16年間に埼玉医科大学•耳鼻咽喉科を初診し病歴の記載が明らかで診断が確定した外耳道異物509症例の臨床像につき検討し.臨床統計的検討を行った.16年間の外耳道異物症例は,509症例でこの間の新患患者数は68,579名であり,外耳道異物が新患患者に対して占める割合は,0.74%であった.異物症例の受診時間帯をみると時間内を受診したのは161症例(31.6%),時間外は,348症例(68.4%)であった.性別では,男性307症例(60.3%),女性202症例(39.7%)であった.左右別では,右側251症例(49.3%)左側241症例(47.3%),両側4症例(0.8%)であった.受診月別にみると月平均42.4症例で,7月,8月と気温の高い時期に多く認めた.年齢分布では,平均年齢25.4歳で生後1カ月の乳児から90歳までの各年齢層に認めた.年代別でみると9歳以下の小児が182症例(35.8%)で最も多かった.種類別にみると,有生物206症例(40.5%),無生物は288症例(56.6%)であった.また,受診月別平均気温と有生物の症例数の間には極めて強い相関関係が認められた.