著者
杉田 浩一 白井 邦郎 和田 敬三 川村 亮
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.311-315, 1977-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
3
被引用文献数
3 1

食品中コラーゲンの加熱による変化を解明するため,豚皮より調製した不溶性コラーゲンを水中で加熱し,ゼラチン化の進行状態を観察した。溶出窒素量よりみたゼラチン化は,加熱の温度,時間の増加により促進されるが,温度により限界がある。 pHが低下するとこの限界は除かれ,溶出量が著しく増大する。塩類は酸性側でゼラチン化を抑制し,中性側で促進する。加熱時の溶出物中には,ディスク電気泳動および,ゲルクロマトグラフィーにより,コラーゲンのα, β, γ鎖に相当する成分が検出されたが,ゼラチン化の進行にともない,そのパターンにはペプチド鎖の解裂による低分子化とみられる変化が起こった。
著者
高橋 幸資 清水 ふさ子 白井 邦郎 和田 敬三
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-40, 1982
被引用文献数
3 1

比較的低水分食品中澱粉の糊化温度を熱分析で測定する目的で,米,ソバ,小麦粉生地およびこれらの加工食品とその単離澱粉の示差熱分析を行った.以下に実験結果を要約する. 1.米のDTA曲線は,単一の明瞭な吸熱ピークを示し,おのおのの単離澱粉のDTA曲線とは高温側に1~6℃ ずれている以外はきわめてよく似たパターンを示した.さらに吸熱ピークの過程で澱粉粒の偏光の消失を伴うことから澱粉の糊化を検出したものと判断した.ソバのDTA曲線は非常にブロードであったが,単離澱粉とはよく似ている.精白米を室温で3年間貯蔵すると約4℃ 糊化開始温度が上昇した. 2.モデル麺により小麦粉のDTAを行ってみると単離澱粉とよく似た曲線を示し,小麦粉中のタンパク質による吸熱シグナルはあっても小さいと考えた.しかし単離澱粉とは異なって塩化ナトリウムおよび炭酸アルカリの使用により糊化開始温度は上昇し,10%の使用量で5~9℃ 高まった. 3.加工食品の糊化開始温度は,スパグッティでは約59~60℃ で比較的低く,ソーメン,ヒヤムギ,ウドンでは約61~64℃ で,次に,中華麺では約63~65℃ と比較的高かった.この順序は製麺時の塩の使用量とよく一致する.ソバ麺の糊化開始温度は約63~65℃ であった.ビーフンの吸熱ピークは,ブロードで面積も小さく糊化開始温度も約50℃ と低かった. なお,本報告の大要は,昭和54年度日本栄養改善学会で発表した.