著者
唐沢 博 小川 均 田村 進一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1017-1022, 1985-11-15

筆者らは 英文テキストの作成を支援する目的を持つ英文テキスト補完生成システムを既に作成した.このシステムは 作成したい英文テキストの要素であるような 単語・句・文といった断片的な情報を入力することによって システムの推論の及ぶ範囲内で省略もしくは欠落している統語的・意味的情報を補い 利用者が意図していると予想される内容を持った英文テキストを生成する磯能を持つ.この補完システムについて 次の2点の評価を行った.すなわち (1)補完システムの補完操作の基盤である補完体系の特性を明らかにする (2)補完システムの補完能力が人間の補完能力と比較してどの程度なのかを知る目安を得る.これらの評価の結果 (1)の評価によって 補完体系を構成する文脈型・連想型・推論型・デフォルト型の4種類の補完型のうち 内容的に質の良い出力テキストを生成する場合に連想型・推論型が寄与していることが判明した.また(2)の評価により 英語圏の人間の補完能力に対するシステムの補完能力を定量的に示すことができた。さらに 以上の評価の過程で副次的に明らかとなった評価手法の問題点や補完システム諸特性に関して考察を加えた.