著者
岩高 剛 橋本 良太 小川 均
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.367-368, 1996-03-06

コンピュータ・グラフィックス(CG)による顔の動画の通信を想定する場合,画面に出力された顔の表情や口の動きなどが自然に表現できれば,あたかも実際に人間と会話をしているかのような臨場感が期待できる.そのためには,表情や口の動きの自然な画像合成が必要である本論では,口の動きに着目し,発話における自然な口の動きの動画処理について考察する.口は発話時に,様々な形や大きさの変化が見られる.そこで,移動方向,強さ(速度),移動距離の相互関係を調べ,自然に動作を行なう一般化した軌跡モデルを構築する.この軌跡モデルを使用して,個人特有の情報を使用せずに自然な動作を表現させることを目的とする.対象としたのは,日本語の五母音であり,閉口状態から各々の母音を発声するまでの変化量,またある母音から他の母音へ(例えば「あ」から「い」へ)の変化量を測定し,特徴量を検出する.また,軌跡モデルを用いてCGの再現を行う.
著者
粉川 貴至 坂本 良太 小川 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.400, pp.1-6, 2006-11-24

日本は頻繁に地震が起こる国である.そこで,気象庁により運用されている緊急地震速報システムがある.このシステムは地震の初期微動を感知することにより,地震の主要動が到着する前に人々に地震の通知を行うことができる.それでも主要動が到着するまで数秒しか残されていないため,誰がどこに居るか,どの家電を消すべきか,家の中にいる家族の安全をどう確保するかという判断を冷静に行う事は難しい.本研究では,地震が起こる際に,緊急地震速報を受け取りネットワークに接続された家電を制御することで人々を支援するシステムを開発する.システムは地震に対する対策として一般的な対策,家の中に居る人に関連した対策,各家庭に特化された3種類の対策を扱う.これら異なる種類の対策を同時に行おうとする場合,家電制御において競合が起こることがあるため,それを解決するメカニズムを実装した.対策は制約として表され,重み付き制約充足問題を拡張した最適化手法により解決した.本稿ではシステムの実現と実験を示し,最後にその結果と課題について述べる.
著者
羽尻 公一郎 岡田 美智男 小川 均
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.3_87-3_99, 1998-09-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
16

Incremental production has been a recent topic in language production studies. There are several levels in the sentence production process, such as the conceptual level, syntactic formulation level, phonetic formulation level, and so on. In incremental sentence production frameworks, a fragmental, incomplete segment can trigger a part of the sentence production process. For example, since an input to the syntactic formulator may be lacking case information on the noun to be produced, the syntactic formulator must complete the missing case information in order to produce an utterance incrementally. Furthermore, if the completed information causes inconsistency with the actual case information to be supplied later, the syntactic formulator must somehow dissolve this inconsistency. To examine how these processes are done in human sentence production, we conducted psycholinguistic experiments on incremental sentence production. Consequently, we found that the completion of missing case information is performed in a regular way, where a nominative case is assigned to the leftmost element in the sentence, and that the dissolving of inconsistency is done by means of passive voice construction or self-repair.
著者
唐沢 博 小川 均 田村 進一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1017-1022, 1985-11-15

筆者らは 英文テキストの作成を支援する目的を持つ英文テキスト補完生成システムを既に作成した.このシステムは 作成したい英文テキストの要素であるような 単語・句・文といった断片的な情報を入力することによって システムの推論の及ぶ範囲内で省略もしくは欠落している統語的・意味的情報を補い 利用者が意図していると予想される内容を持った英文テキストを生成する磯能を持つ.この補完システムについて 次の2点の評価を行った.すなわち (1)補完システムの補完操作の基盤である補完体系の特性を明らかにする (2)補完システムの補完能力が人間の補完能力と比較してどの程度なのかを知る目安を得る.これらの評価の結果 (1)の評価によって 補完体系を構成する文脈型・連想型・推論型・デフォルト型の4種類の補完型のうち 内容的に質の良い出力テキストを生成する場合に連想型・推論型が寄与していることが判明した.また(2)の評価により 英語圏の人間の補完能力に対するシステムの補完能力を定量的に示すことができた。さらに 以上の評価の過程で副次的に明らかとなった評価手法の問題点や補完システム諸特性に関して考察を加えた.