著者
喜多 歳子 池野 多美子 岸 玲子
出版者
北海道公衆衛生学会
雑誌
北海道公衆衛生学雑誌 (ISSN:09142630)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.33-43, 2013

日本では、子どもの相対的貧困率が上昇しているが、就学前の子どもの発達に及ぼす影響は報告されていない。そこで、諸外国で行われた親の社会経済状態(socioeconomic status; SES)と子どもの発達に関する研究に基づき、今後の課題を探った。PubMedを利用し、主に先進国の原著論文の分析を行った。その結果、①SES指標に親の教育歴、所得、職業が多く用いられていた。②発達は、「発達の遅れ」と「問題行動」に大別して報告されていた。③SESと発達の指標は多様であったが、就学前であっても、SESが子どもの「発達の格差」や「問題行動」に影響していた。④その関連に、親の抑うつ、育児ストレス、不適切な養育態度、物的困窮、少ない育児資源などが複雑に関係していた。欧米の研究は、「関連の強さ」から、「効果的な介入」を求める方向に向かっている。本邦の研究課題は、①日本社会にふさわしいSES指標の発見。②親のSESと子どもの発達に関する調査、及び効果的な介入方法の検討である。
著者
喜多 歳子 池野 多美子 岸 玲子
出版者
北海道公衆衛生学会
雑誌
北海道公衆衛生学雑誌 (ISSN:09142630)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.33-43, 2013

日本では、子どもの相対的貧困率が上昇しているが、就学前の子どもの発達に及ぼす影響は報告されていない。そこで、諸外国で行われた親の社会経済状態(socioeconomic status; SES)と子どもの発達に関する研究に基づき、今後の課題を探った。PubMedを利用し、主に先進国の原著論文の分析を行った。その結果、①SES指標に親の教育歴、所得、職業が多く用いられていた。②発達は、「発達の遅れ」と「問題行動」に大別して報告されていた。③SESと発達の指標は多様であったが、就学前であっても、SESが子どもの「発達の格差」や「問題行動」に影響していた。④その関連に、親の抑うつ、育児ストレス、不適切な養育態度、物的困窮、少ない育児資源などが複雑に関係していた。欧米の研究は、「関連の強さ」から、「効果的な介入」を求める方向に向かっている。本邦の研究課題は、①日本社会にふさわしいSES指標の発見。②親のSESと子どもの発達に関する調査、及び効果的な介入方法の検討である。