著者
上田 至宏 黒岩 共一 善住 秀幸 片野 泰代 亀 節子 樫葉 均 武田 大輔 柳田 利雄 喜多村 祐里 大城 宣哲 時本 康紘 野村 保
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.407-412, 2000-09-01

イメージによる脳の機能を検討するため刺激強度を変えて合谷を圧迫した場合と、それらと同じ状態をイメージした場合とをfunctional MRI(f-MRI)で測定した。強い痛みをともなう圧迫刺激では両側の2次知覚野と頭頂葉、視床、島などが賦活され、人によっては視覚野も賦活された。その状態をイメージした場合には2次知覚野の信号強度は低くなり、視覚野や側頭葉の強度が増加した。合谷皮膚表面の強いピンチ刺激(激痛)では、圧迫刺激の場合に見られたほどの広範囲な賦活はなかった。左指先から右掌の労宮に気を送る実験では、右感覚野と右基底核の限定された部分が賦活した。瞑想、小周点法も行ったが賦活部位は検出できなかった。
著者
喜多村 祐里 眞下 節 武田 雅俊
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「痛み」の生物学的意義は、生体を侵害刺激から守るための「警告信号」であると考えられる。損傷や炎症の生じた部位の修復機構を促しながら、治癒までの期間、外界の刺激から遠ざけて効率的にかばうといった行動は「痛み」のおかげで誘発される。しかし、「痛み」が持続し慢性化することによって、脳の中の扁桃帯や前帯状回といった情動に関与する神経回路が活動し続けると、負の情動が形成されることになる。この負の情動は、「気分が落ち込む」「根気・集中力がなくなった」などの抑うつ感や、「よく眠れない」「目覚めがよくない」といった睡眠障害を引き起こし、やがて個人の社会的・生活機能をも低下させることにつながる。近年、「痛み」の研究は脳科学の進展とともにその歩みを早め、疼痛コントロールの重要性については、臨床家はもとより一般にも広く知られるようになった。本研究は、慢性疼痛における「痛み」、すなわち個人の主観的感覚に対して、「どのような治療的アプローチが考えられるのか」を模索する中で、プラセボ効果やカウンセリングといった心理的・認知行動学的アプローチの有効性について科学的根拠にもとづいた知見を得る目的で行われた。近赤外分光法(NIRS)やストレス関連物質であるコルチゾルおよびクロモグラニンの測定、また質問紙形式とVAS;visual analogue scaleによる痛みの主観的・客観的評価をさまざまな角度から行った。わずか2年間で得られた知見は、動物実験の結果や健常人による心理実験にもとづくものではあるが、このような基礎的研究を礎に大学内には「疼痛研究センター」が設立され、実際の臨床の場においてもこれらの知見が生かされるような体制が整いつつあることに、改めて大きな意義を感じている。
著者
上田 至宏 樫葉 均 石井 昌明 柳田 利雄 喜多村 祐里 佐伯 吉捷
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.269-275, 2000-03-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
2

オルゴールの音色には可聴域以外の高周波が含まれ、かつオルゴール特有のリズムとも相俟って心が安まると指摘する人があり、この効果を癒しとして利用しようとする音楽療法の一種にオルゴール療法がある。そこでオルゴール音の脳波、光トポグラム等への影響を検討した。一般に健常人の安静閉眼時の脳波は後頭部を中心にα波成分が優位になるが、リラクゼーションが得られると、α波パワーの増大と徐波化がみられる。しかし、今回のオルゴール音を使用したリラクゼーション時の結果では、αパワーの増大と徐波化もみられたが、他の周波数帯域(特にβ帯域)のパワーも増大した。今回、脳梗塞後に末梢の感覚障害等を有する患者に、オルゴール療法を行っている時の脳波を測定する機会があり、その患者では特にβ帯域のパワーの増大傾向が顕著に表れた。オルゴール音は、皮膚の活動を賦活する働きがあるだけではなく、高周波による影響が骨伝導を通して深部の脳波活動にも影響をあたえているようであった。
著者
上田 至宏 樫葉 均 石井 昌明 柳田 利雄 喜多村 祐里 佐伯 吉捷
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.269-275, 2000-03-01

オルゴールの音色には可聴域以外の高周波が含まれ、かつオルゴール特有のリズムとも相俟って心が安まると指摘する人があり、この効果を癒しとして利用しようとする音楽療法の一種にオルゴール療法がある。そこでオルゴール音の脳波、光トポグラム等への影響を検討した。一般に健常人の安静閉眼時の脳波は後頭部を中心にα波成分が優位になるが、リラクゼーションが得られると、α波パワーの増大と徐波化がみられる。しかし、今回のオルゴール音を使用したリラクゼーション時の結果では、αパワーの増大と徐波化もみられたが、他の周波数帯域(特にβ帯域)のパワーも増大した。今回、脳梗塞後に末梢の感覚障害等を有する患者に、オルゴール療法を行っている時の脳波を測定する機会があり、その患者では特にβ帯域のパワーの増大傾向が顕著に表れた。オルゴール音は、皮膚の活動を賦活する働きがあるだけではなく、高周波による影響が骨伝導を通して深部の脳波活動にも影響をあたえているようであった。