著者
井上 絵里香 大窪 綾 杉本 佳奈美 佐野 友恵 益田 理奈 喜多野 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.170, 2006

<BR>【目的】近年、社会・経済構造の変化により、家庭における食生活は急速に変化している。その変化の中で、家庭や地域独特の行事食が衰退の一途をたどる懸念がされている。行事食の中でも行事菓子の伝承実態について全国調査されたものは極めて少ないことから、今後の食文化伝承を教育目標とする食育における行事菓子の位置づけや方向を考えるための基礎データを得る目的で、全国の行事菓子の認知度や実施度について調査を行うことにした。<BR>【方法】11都道府県の大学、短期大学、専門学校の学生1309名を対象とし、行事菓子についての認知度や実施度に関するアンケート調査を行った。調査時期は2005年7月、配布、回収は各学校を通して行った。回収率は90.4%、1165名を有効データとした。なお、検定方法はΧ<SUP>2</SUP>検定を用いた。<BR>【結果および考察】アンケートの結果、認知度が高い行事菓子は、実施度も高い傾向となった。しかし、認知度は高いが実施度が低い行事菓子については、衰退が懸念された。 また、全体的に実施度が高い行事菓子は、クリスマスケーキ、バレンタインチョコ、節分豆などの行事自体にイベント性が高いものや、千歳飴や雛あられ、柏餅など、子供に関係のある行事菓子であった。よって、子供のころから慣れ親しんだ行事菓子は、大人になっても継続して食されるのではないかと考えた。今後、学校給食や食育の授業などを通して、幼少期から行事菓子に慣れ親しむ機会を増やすだけでなく、伝承する立場の親世代についても、行事菓子について理解を深め、体験できる機会を提供する必要性があると考えられた。
著者
三浦 さつき 太田 暁子 喜多野 宣子 志垣 瞳 島村 知歩 冨岡 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.199, 2010

【目的】近年、伝統的な行事食の伝承が少なくなっているといわれる。本報では、平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として実施した「行事食調査」から、年末年始の行事食を中心に、奈良県の現状を把握し、世代間による認知度や喫食経験などの違いについて明らかにすることを目的とする。<BR>【方法】平成21年12月~平成22年3月、日本調理科学会「行事食調査」の全国統一様式による調査票により、大学生およびその家族にアンケート調査を実施した。そのうち、奈良県在住者251名(学生157名、家族94名)を対象にして、正月、人日・七草、大晦日の行事の認知度、行事食の喫食経験や調理状況について検討を行った。<BR>【結果】行事の認知・経験については、正月と大晦日は学生・家族ともほぼ100%であったが、人日・七草の認知は学生83%、家族90%であり、経験は学生57%、家族83%であった。年末年始の行事食においては、学生・家族とも喫食経験が90%以上と高かった料理は、雑煮、黒豆、かまぼこ、年越しそばであり、毎年食べている人がほとんどであった。正月の赤飯、大晦日の祝い料理やいわし料理は、喫食経験が低かった。雑煮、七草粥、年越しそばは、家庭で作って食べる割合が高かったが、昆布巻き、きんとん、だて巻き卵、かまぼこは、作って食べる割合よりも買って食べる割合のほうが高かった。学生と家族で比較すると、屠蘇、煮しめ、なます、七草粥の喫食経験に違いがみられ、家族よりも学生のほうが、年末年始の行事食の喫食経験や家庭で作って食べる人の割合が低い傾向がみられた。
著者
島村 知歩 太田 暁子 喜多野 宣子 志垣 瞳 冨岡 典子 三浦 さつき
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】近年、伝統的な行事食が親から子へ伝承されない傾向にあるといわれる中、奈良県における年中行事の認知と経験、それに関連する行事食の状況について、学生世代、親世代、祖父母世代の三世代間で比較を行い、世代間での伝承状況についての現状を把握することを目的とした。 <br>【方法】平成21~23年度日本調理科学会特別研究で実施した「調理文化の地域性と調理科学:行事食と儀礼食」の全国統一様式の調査票により、大学生およびその家族にアンケート調査を実施した。そのうち、奈良県内で10年以上居住経験のある子世代(10・20歳代)150名と親世代(40・50歳代)114名、祖父母世代(60歳以上)32名について、調査項目17行事の年中行事の認知度、経験、行事食の経験、調理状況について検討を行った。<br> 【結果】17行事中、11行事はいずれの世代も認知度85%以上と高かったが、春分・秋分の日、春・秋祭り、重陽の節句の認知度は低く、世代間で違いがあった。80%以上が経験している行事は、祖父母10行事、親9行事、子は正月、クリスマス、大晦日、節分、上巳の5行事と少なかった。祖父母と親の行事の経験率は似ているが、重陽の節句と春祭りの経験は祖父母(21.9%・37.5%)親(9.6%・14.9%)子(5.3%・15.3%)と親は子に近かった。行事食では3世代共に90%以上が経験している料理は正月の雑煮・黒豆・かまぼこ、クリスマスケーキと年越しそばであった。行事食も祖父母と親の喫食経験は似ているが節分の炒り豆、月見だんご、冬至の南瓜は世代間に差がみられた。春祭り・秋祭りの行事食は祖父母でも約30%と経験は低く、親・子は約10%とさらに低かった。