著者
喜屋武 諒子 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.667-670, 2018

<p>Giant cell-rich osteosarcoma(GCRO)は通常型骨肉腫の1~3%に発生する稀な疾患である.化学療法が著効した1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.1年前左膝関節痛を主訴に前医を受診した.単純X線像で左大腿骨外側顆の骨透亮像を指摘され,MRIで骨腫瘍疑いと診断された.その後通院の中断があり,6ヵ月後に疼痛が増悪したため前医を再受診し,単純X線像で病巣拡大を指摘され当院へ紹介された.当院で施行したFDG-PETで左大腿骨外側顆に高度集積を認め,切開生検の結果転移性骨腫瘍が疑われたため,初診から1ヵ月半後に広範切除術及び腫瘍用人工膝関節置換術を施行した.最終病理組織診断はGCROであった.術後1ヵ月に急速に増加増大する多発性肺転移を認め,NECO-95Jプロトコールに基づき化学療法を施行したところ著明な縮小効果が得られた.現在化学療法終了後1年6ヵ月経過し,再発転移を認めていない.</p>
著者
喜屋武 諒子 東 千夏 平良 啓之 山中 理菜 親川 知 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.43-45, 2018

<p>54歳男性.43歳時に関節リウマチ(RA)を発症した.高疾患活動性のため44歳時にインフリキシマブを導入したが経済的理由により1年で中止し,48歳時にはメトトレキサートを16mgまで増量した.51歳時に糖尿病(DM)と診断され加療開始されたがコントロールは不良だった.52歳時には両膝関節痛が増悪し車椅子で受診するようになり,多関節腫脹や疼痛が出現したためトシリズマブを開始した.両膝関節の変形が高度で歩行困難だったため,53歳時に両側人工膝関節置換術(TKA)を施行した.術後1週で立位可能,2週で平行棒内歩行が可能になった.経過中に胆石による胆石疝痛発作を発症し保存加療で軽快した.術後4週で歩行器歩行が可能になったが,再度胆嚢炎を発症したため腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定し外科に転科した.その翌日に左被殻出血を発症した.保存加療を行い,現在失語は改善を認め,右麻痺は残存している.RA,DM,TKA,脳出血について考察を加えて報告する.</p>
著者
喜屋武 諒子 勢理客 久 屋良 哲也 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.728-730, 2017

50歳女性.受診数日前から生じた腰痛が急激に増悪し,歩行困難となり当院へ救急搬送された.下肢筋力低下や深部腱反射の減弱・亢進を認めなかった.腰椎X線像ではL5分離滑りを認め,単純MRIのSTIR画像ではL5/S1椎間板の高輝度および両L5椎間孔の狭窄を認めた.高度腰痛が持続したため入院24日目に再度MRIを撮像したところ,L5およびS1椎体にSTIR画像にて高輝度を認め化膿性脊椎炎が疑われた.経過中発熱を認めず,血液検査ではWBC 3900/&mu;L(好中球51%),CRP 0.30 mg/dL,血沈54 mm/1 h,procalcitonin 0.04 ng/mLと炎症所見に乏しく造影MRIでは,L5・S1椎体の淡い造影効果および椎間板の減高を認めるのみであった.以上より化膿性脊椎炎は否定的でありL5/S1不安定性による骨髄浮腫と考えPLIFを施行した.術中検体の培養は陰性で病理所見にて明らかな感染所見は指摘されなかった.術後3ヵ月現在,腰痛なく独歩可能である.