著者
平 英彰 嘉戸 昭夫
出版者
富山県林業技術センター
雑誌
富山県林業技術センタ-研究報告 (ISSN:09150013)
巻号頁・発行日
no.8, pp.19-23, 1994-12

1984年1月23日午前8時10分頃、杉の樹冠上部におわんをかぶせたような雪塊が発達していた。そして、それが約9日間保持され、2月1日その雪塊がとけて落ちたときに梢端が折れていることが確認された。樹幹上部に異常な雪塊が発達したときの降雪条件は、気温がプラスからマイナスに変化し、その間に約23cmの降雪があった。その後、気温は低温下で推移した。樹幹の変形過程を観察すると、冠雪が発達していく過程で梢端部は着雪によって大きく傾き、傾いた幹にさらに雪が積もって梢端部は下垂し、梢端部についている雪塊と下部の雪塊が融合し、梢端部は折りたたまれるような状態で大きな雪塊の中に埋もれた。その後、低温が続いたため、新雪がしまり雪に変化し、その時の雪の収縮に伴って梢端が折れたものと推定される。