著者
小佐古 敏荘 四方 隆史 志田 孝二
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究は100MeV以上の電子、陽子、重イオンの高エネルギ-加速器からの放射線遮蔽をリ-ス項、遮蔽特性の観点から、数値計算及び実験の双方から系統的に研究を進めようとするものである。研究は以下の3項目に関して進められ検討された。(1)高エネルギ-放射線種々の物質の遮蔽特性の数値計算による検討遮蔽に用いられる各種物質の基本的な遮蔽減衰特性を求めるために、1次元S_N輸送計算コ-ドANISNを用いて解析計算をおこなった。使用した中性子断面積はDLCー87/HILOで、中性子エネルギ-は400MeVからThermalまでである。散乱ルジャンドル展開項はP_3まで、S_Nの角度分点はS_<16>である。入射中性子は単エネルギ-のものを考え、3m厚の無限平板体系に垂直入射の条件で入射させた。鉛、鉄、重コンクリ-ト、コンクリ-ト、大理石、パラフィン、水などについての計算を行い、線量当量の空間分布図の形で結果を得た。(2)大型加速器施設(理化学研究所リングサイクロトロン)における実験重イオンビ-ムによる放射線の発生測定のためには、ガンマ線用に電離箱を、中性子用に放射化箔(C、Al、Au、Ag、Ni、In等)および減速材型中性子検出器を用い、生成量及び角度分布測定を試みた。タ-ゲット条件としては、Nイオンビ-ムを核子当り135HeVに加速したものを鉄の厚いタ-ゲットに入射したものを設定した。遮蔽デ-タとしては、主として減速材型検出器を用いて、コンクリ-ト壁の透過デ-タ、迷路部のストリ-ミングデ-タを中心に測定した。(3)高エネルギ-放射線の発生項の評価上記条件下での高エネルギ-粒子発生についてはモンテカルロ計算コ-ドNMTCにより評価し、総合的な形で、実験値との差異、計算上の問題点を検討した。